さて午後になると、いよいよ合同面接会である。52コマの個別面接が行われた結果、候補者14人中9人が別途、2次面接に進み、うち4人にはすでに内定が出ている。残念ながら面接希望が来なかった5人に関しては、ハーモニーレジデンス社が別の企業を紹介していくという。
このサービスで日本の企業社会が大きく変わるわけではないだろうが、女性管理職候補者の紹介に特化し、女性、企業双方の意識も変えようとする試みは貴重といえる。来年も3回、同様の取り組みを実施する予定だ。
福井氏に、日本企業で女性の管理職比率が低い理由を聞いてみると、先のアンケートであがった以外に、次の3つを指摘した。
1つは、妻が稼ぐと不利になる配偶者所得控除の仕組み、2つは、男性に有利な、長時間労働をよしとする風潮、3つは、女性にとってのロールモデルの不在、裏返していえば、いま日本企業で活躍している一握りの女性管理職が、髪を振り乱して頑張るような“男性型女性リーダー”であること。
「もっといえば、母親が働きに出ると、すわ育児放棄か、という目で見る祖父母たちの冷たい視線もあります。本人、夫、企業、社会など、要因は複雑にからみあっているので、1つだけ手をつけても何も変わらない。すべてを少しずつ、変えていくしかありませんが、私たちは“女性型女性リーダー”を発掘・育成して企業に送り込むという意味では、先鞭をつけたと思っています」
「できない男」はどうなってしまうのか
「できる女性」が管理職にどんどん登用され、企業を引っ張っていく。大いに慶賀すべきだろう。その一方で、「できない男性」はどうしたらいいのだろうか、という思いがよぎる。これまでは、大卒男子だったら、ほとんどすべてが初級管理職である係長まではなれた。ところが、年功序列の崩壊とともに、今後は「できる女性」という新しいライバルが加わることになるから、彼女たちとの出世争いに敗れ、一生、ヒラという男性が多く生まれる可能性が大いにある。最近、万事控えめの草食男子が急増中だというのは、もしかしたら、それを先取りした現象なのかもしれない。