「貯蓄率50%の生活」は苦しくなかった
私が大学を卒業して社会人になった1970年代初頭には、経済的自立に関する情報はほとんどなかった。私は荒野をさまよっているような気持ちだった。50%というのは適当に選んだだけで、何となくしっくりきただけだ。
専門職として初めて就いた仕事では、年収1万ドル(2023年には最大で7万ドル)だった。年間5000ドルで生活している人たちがいることは知っていたので、自分にもできないわけがないと思った。それができれば5000ドルを確保することができ、それを投資することで、私にとって最高に価値があるもの、つまり経済的自由を手に入れることができる。そこで私は実行に移した。
生活が苦しいという感じはしなかった。私は早くから、家や車など、ほかの人たちが安易に手を出すような大きな経済的負担を避けてきた。それは快適な生活だった。私がバックパック旅行や自転車でツーリングをしている間に、豪勢な休暇を過ごしていた同僚らもいたかもしれないが、自分の選択のほうがよかったのではと思う。その後、収入が増えるにつれて投資もライフスタイルも変わっていった。年収が2万ドルのときは、1万ドルを投資して1万ドルを使った。10万ドルのときは、それぞれ5万ドルにした。年を追うごとに私の経済状態は上向き、生活も豊かになった。シンプルなアプローチだが、実に効果的なのである。
始めるのは、早ければ早いだけいい
もちろん、先の表が示すとおり、収入の50%を貯蓄しなくても経済的自由を得ることはできる。その分、時間がかかるだけだ。強気の貯蓄率にしたら、ゴールはもっと近くなる。どうするかはあなた次第だ。私に関しては、50%が常に最適だと思っている。
もしあなたがまだ若く、「シンプルな道」のほんの入口でこれを読んでいるなら、経済的自由は実現不可能なほど遠くに見えるかもしれない。しかし、今が最高のタイミングだ。あなたには明らかに有利な点がいくつかある。現在のライフスタイルをやむを得ず手放すとしても、まだその生活にどっぷり浸かりすぎていない可能性が高い。それに、投資した資金を複利で運用する時間も増える。複利は世界の奇跡のひとつであり、時間こそがその生命線である。
もっと若いときに「シンプルな道」に出会っていれば……、という言葉を多くの人から聞く。70歳の人は60歳のときに出会っていれば、60歳の人は50歳のときに出会っていれば、50歳の人は40歳のときに、40歳の人は30歳のときに、30歳の人は20歳のときに、20歳の人は10歳のときに出会っていれば、と言う。10歳の子どもは、私がおなかの中にいるときに親がこれをやってくれていたら、と言う。