お金持ちになるための「シンプルな道」
ヴィッツィーニには申し訳ないが、そんなことはない。
『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』の中で、私は読者に収入の50%を貯蓄するよう勧めている(やや不評は買っているが)。これはまさに私が娘に言ってきたこと、そして私自身がやってきたことだ。
最後の一銭まで使い切ること、さらに借金をすることが一般に広く浸透しているため、私の考え方に驚きを隠せない人たちもいた。彼らはそれを単に不可能だと言って切り捨てた。しかし、もちろん可能である。私にはできたし、多くの人が実行している。実際、「シンプルな道」を歩んでいるほとんどの人が「収入の50%貯蓄」に取り組んでいるのだ。
皮肉なことに、私が「信じられない」ことを勧めていると声高に文句を言う人がいる一方で、ハードルを低く設定しすぎだと非難する人もいる。こうした人たちは、収入の60%、70%、80%、さらには90%を常に貯蓄している。
不可能だなんて、ナンセンスだ。絶対に可能である。これは単に、優先順位を決め、それに従って生活を体系化できるかどうかという問題である。
とはいえ、簡単にできるかと言えば、答えは「ノー」だ。しかし、このあとの体験談に出てくる難易度を下げるためのテクニックを知ったら、驚きとともに喜びがわいてくるかもしれない。
収入の50%貯蓄なら、何年で「FIRE」できるのか
では、50%という数字は強気すぎるのか、それとも弱気すぎるのか? それを判断するのはあなた自身だ。ただ、経済的な自立の達成が重要だと思うなら、図表1を見てほしい。どの程度の貯蓄率でいつごろリタイアできるのかについて、イメージがつかめると思う。
表内の数字は、年間8%の投資リターンを得ながら、標準的な引き出し率4%で生活することを想定したものだ(年間生活費の25倍の資産が必要だとして算出)。そのため、これらの数字は絶対にこうしなきゃダメということではなく、ガイドラインだと思ってほしい。
この表は、友人のダローの著書『もうリタイアしていい?(Can I Retire Yet?)』から転載した。
ここでは、貯蓄率ゼロの状態から始めることを前提としており、借金がある場合にはリタイアまでの年数はもっとかかる。すでに貯蓄や資産がある場合は、逆にもっとリードしていることになる。
あなたの旅の道中に株式市場がどうなっているかは、意外にもそれほど重要ではない。貯蓄率のほうが株式の運用成果よりも間違いなく影響が大きい。確かに株価が上がって追い風となれば、リタイアまでの時間は短縮される。しかし、たとえ下がったとしても、株をより安く手に入れる機会となるわけで、長い目で見ればよい結果をもたらしてくれる。
50%以上の貯蓄率を頭ごなしに否定してきた人には、表にある低い貯蓄率の欄を見てみてほしい。自分の貯蓄率がどういう状況をもたらすのか、少なくとも理解できるのではないだろうか。