「どれだけ稼ぐかではなく、どれだけ残すか」
「どれだけ稼ぐかではなく、どれだけ残すかが重要だ」という古いことわざがある。
このことわざには多くのバリエーションがあり、「まずは自分自身に支払え」というものもあるが、どちらもしっかり貯蓄することがファイナンシャル・ウェルビーイングのためにいかに重要かを示している。ある短い期間で経済的な自立を成し遂げるなら、積極的にお金を貯める必要がある。貯蓄率が高ければ高いほど、達成までの道のりは短くなる。貯蓄率がわずかであれば、それだけ道のりは長くなる。
高校時代からの古い友人は、年間4万ドル以上を稼いだことがない。それなのに、比較的若いうちに経済的な自立を果たした。それは、彼が日々の生活を整えて支出を抑え、投資できる資金を確保し続けていたからである。このあとのパート4では、年間のボーナスが80万ドル(現在だいたい1億2千万)でも生計を立てられなかったケンの話を紹介する予定だ。
富を築くための「重要なメカニズム」
私個人は昔からずっと節約家である。それがどこから来ているのかはわからない。母が昔「16歳になったら赤いオープンカーが買えるかも」と励ましてくれたからかもしれない。もっとも、当時はすでに父の健康状態が悪化していて、それに伴って家計も傾いていた。私の貯金は大学の学費に消えてしまったので、オープンカーを買ったのは、もっとずっとあとのことである。節約することが好きなのは、単に私の遺伝子コードに組み込まれている可能性もある。いずれにせよ、この節約志向は私におおいに役立っているし、あなたにも役立つはずだ。
たとえ貯蓄が簡単ではなくても、自分の性に合わなくても、このパートで紹介する体験談を読めば、あなたにもきっとできる。本書で「借金」のあとに「貯蓄」のパートを載せているのは、貯蓄が私たちを借金(運悪くすでに抱えていても)から解放してくれるだけでなく、富を築いてくれる重要なメカニズムだからだ。貯蓄によって、ほかのすべてのことが可能になると言える。
貯蓄こそがこの旅の原動力なのだ。