免疫の働きを下げる天敵の正体

免疫力低下に関しても同様で、免疫系は複雑な仕組みなので、簡単には機能が低下しないようになっています。つまり、免疫力とは急には下がらないようにできているのです。

ただし、ストレスは少し特別です。心的なストレスや肉体的なストレスが一定期間以上続くと、免疫力は大きく下がってきます。

ストレスが続くと副腎(左右の腎臓のすぐ上にある内分泌器官)から副腎皮質ホルモン(コルチコステロイドあるいは糖質ステロイドともよばれる)が多量に作られるようになるからです。

リンパ球の一部を殺してしまう

副腎皮質ホルモンはさまざまな細胞に働きますが、なかでも獲得免疫の主役であるリンパ球にはよく働き、リンパ球の機能を低下させるともに、リンパ球の一部を殺します。このために免疫系の機能が低下します。

ストレスは万病のもとといわれますが、その理由のひとつは、副腎皮質ホルモンが作られすぎて免疫機能が低下するためです。これによって、さまざまな病気が起きやすくなってきます。

免疫にとっては、ストレスは天敵のような存在です。少々のストレスはあまり問題ないのですが、長く続くと免疫に悪い影響が出てきます。副腎皮質ホルモンが「ストレスホルモン」とよばれる理由がここにあります。