今年は11月上旬から流行の兆し
秋がなかなか訪れないように感じるほど長く暑い夏が続きましたが、冷え込む日が増えてきた今日この頃、体調を崩されることなくお過ごしでしょうか。低温、低湿度を好むウイルスにとって、冬は最適な環境となります。例えば、毎年冬に流行するインフルエンザウイルスは10〜20℃、湿度は20%程度が最も生存しやすいと言われています。空気中に長時間ウイルスが浮遊すると、それだけ私たちの感染リスクも高まります。そこで今回は、これから本格的な流行期を迎えるインフルエンザと、流行が未だ収まらないマイコプラズマ肺炎についてお話ししたいと思います。
インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によって起こる病気です。このウイルスは、5000年も前から存在していたとも言われています。20世紀以降、複数回の大流行を経て、ウイルスの構造を変化・変異させながら、季節性インフルエンザや新型インフルエンザとして流行しています。
例年、12月下旬から3月上旬にかけて猛威を振るいます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生以降、インフルエンザの流行がこれまでと異なるタイミングで始まったケースも報告されていますが、今年は11月上旬から流行の兆しが見え始めています。インフルエンザウイルスにはA、B、Cの型があり、それぞれにいくつかの亜型があります。昨年流行した型はA型(AH3亜型)と言われています。インフルエンザは他の風邪とは異なり、38度以上の急な発熱や悪寒に加えて、頭痛や咳などが主な症状です。
微熱でもインフルエンザに感染している場合がある
しかしながら、微熱でもインフルエンザにかかっている場合があります。特に今年は微熱でも、検査をしてみると実はインフルエンザにかかっていたという方が多いと聞きます。インフルエンザ推計受診者数が約1801万9000人と2018/19年以降最多だった昨シーズン、インフルエンザに罹患したことで獲得した免疫の影響があるとも推測されています。微熱だから大丈夫と過ごしているうちに、家族や周りの人に感染を広げてしまうかもしれません。インフルエンザに罹ったことが疑われる場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
インフルエンザの治療薬には、タミフル(内服、1日2回5日間)、ゾフルーザ(内服、1回のみ)、イナビル(吸入、1回のみ)、リレンザ(吸入、1日2回5日間)、ラピアクタ(点滴、1回のみ)があります。いずれのお薬も症状が軽減するまでの時間を短縮し、症状自体も軽減させる効果がありますが、耐性や年齢、状況に応じて選択する必要があります。医師と相談の上、効果的で安全な治療薬の選択をするようにしてください。