12月中旬までにはワクチンを接種するといい

インフルエンザワクチンは生後6カ月以上の赤ちゃんから接種することが可能です。季節性インフルエンザワクチンは接種後約2週間で効果を発揮しはじめ、5カ月程度効果は持続すると言われています。つまり、流行の波より2週間以上前に接種することが望ましいと考えられます。流行のピークは1月末ごろと予想されますので、12月中旬までにはワクチンを接種できると良いでしょう。ピーク前後の接種については、もはや確率論的な話になります。リスクと必要性を考慮し、適切に判断することを推奨します。

2024年12月リアルなグレー卓上カレンダー
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また2023年3月に新たなインフルエンザワクチン「フルミスト点鼻薬」が承認され、今年から鼻からワクチンを接種できるようになりました。フルミストは「鼻の中にスプレーを吹きかけるだけなので、痛みがない」「生ワクチンのため得られる免疫が強い」といったメリットがある反面、「生ワクチンのため副反応が出やすい」というデメリットもあります。フルミストの添付文書によると、副反応として59.2%に鼻づまりや鼻水、27.8%に咳の症状が見られると報告されています。2歳から使用可能ですが、アレルギー性鼻炎や鼻水の症状がある場合、使用が難しいことも考えられます。これらのメリット・デメリットを考慮し、ワクチンを選択すると良いでしょう。

生後6カ月未満の乳児と65歳以上の高齢者に入院が多い

季節性インフルエンザによる入院の割合は、生後6カ月未満の乳児と65歳以上の高齢者が特に多いと言われています。30万人近くの65歳以上の高齢者が参加した、インフルエンザワクチン接種が心疾患や肺炎、インフルエンザによる入院、そして全死因の死亡のリスクに与える影響などを評価した大規模なコホート研究があります。この研究の結果、インフルエンザの予防接種は心臓病による入院リスクを19%減少させ、肺炎またはインフルエンザによる入院リスクを30%前後、全死因の死亡リスクを50%弱減少させることと関連していたということが分かりました。(Kristin L. Nichol et al. “Influenza Vaccination and Reduction in Hospitalizations for Cardiac Disease and Stroke among the Elderly” N Engl J Med 2003; 348: 1322-1332.)

高齢者はインフルエンザにかかることで、肺炎の併発や併存疾患の悪化など重篤な状態に陥ることがあります。現在のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからないということを保証できるものではありませんが、特に基礎疾患を持つ方や高齢者、またそのような方と接触する機会が多い方には、ワクチン接種を強くおすすめします。