イノベーションの5つの分類
シュンペーターは『経済発展の理論』(第二版)の中で、「新結合」を次の5つに分類しました。
(1)新しい財貨、すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは新しい品質の財貨の生産
(2)新しい生産方法、すなわち当該産業部門において実際上未知な生産方法の導入。商品の商業的取扱いの新方法も含む
(3)新しい販路の開拓、当該国の当該産業部門が従来参加していなかった市場の開拓
(4)原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
(5)新しい組織の実現、独占的地位の形成あるいは独占の打破(*4)
(2)新しい生産方法、すなわち当該産業部門において実際上未知な生産方法の導入。商品の商業的取扱いの新方法も含む
(3)新しい販路の開拓、当該国の当該産業部門が従来参加していなかった市場の開拓
(4)原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
(5)新しい組織の実現、独占的地位の形成あるいは独占の打破(*4)
このように、シュンペーターにとっての「新結合」とは、新製品のみならず、生産プロセスの革新、新市場の開拓、原材料の新しい供給源の開拓、そして組織の革新までも含む広い概念でした。
「新結合」が純利潤を生みだす
先ほど述べたように、「静態的」な経済では、純利潤というものは存在しません。しかし、新結合が行なわれる「動態的」な経済では、純利潤は存在し得るとシュンペーターは考えました。
例えば、手織機による労働だけで繊維製品の生産が行なわれていた「静態的」な経済において、力織機による生産という新結合を実現した企業者がいたとします。
そして、その力織機によって、一人の労働者がこれまでの6倍の製品を製造できるようになったとします。すると、その企業者は、手織機から力織機に乗り換えたことによる劇的なコスト減効果によって、「純利潤」を手に入れることができます。
この場合の「純利潤」とは、力織機で生産した場合に得られる利益と、手織機で生産した場合に得られる利益の差額のことです。こうして、新結合は、企業の純利潤の源泉になるのです。