老後資金のため、壁を乗り越えるチャンス

それならば、従業員51名以上の事業所に勤務する人は年収125万円以上を目指し、50名以下であれば、週30時間以上働いて社会保険に加入し、130万円の壁を超えても手取りが減らない152万円を目指すほうが効率的です。

年金収入には公的年金等控除が適用になります。現在、65歳以上の人は158万円(基礎控除48万円+公的年金等控除110万円)まで所得税がかかりません(※10)。もし、基礎控除が引き上げになれば、さらに課税ラインは引き上げられます。目先の壁にこだわっていると、せっかくの控除枠を目いっぱい使うことができません。

近年は最低賃金が上昇し、賃金が上がらなかった時代と違って、収入アップへのハードルは下がっています。「もっと働きたい」との声も多く、壁を乗り越えるチャンスと捉えることもできます。

年金額は加入期間がモノを言います。年金受給開始が目前に迫って気が付いても、過ぎた年月は戻ってきません。子どもの手が離れた40歳代からでも20年くらいの加入期間は稼げます。賃金アップと社会保険適用拡大の波にいち早く乗りましょう。

※10 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1000万円以下の場合

年金のイメージ
写真=iStock.com/RomoloTavani
※写真はイメージです
【関連記事】
パート主婦も「手取り16万円アップ」の恩恵あり…年収の壁が178万円になった場合に知っておくべき損益分岐点
日本経済の復活には欠かせない…「103万円の壁の見直し」がもたらす"手取りが増える"以外の効用
「大幅な税収減になる」に流されてはいけない…「103万円の壁問題」でメディアが取り上げない"意外なメリット"
世帯年収1000万円超の公務員夫婦が「節税のつもりが大損」のワケ…保険に月5万円支出で失った巨大リターン
お金が貯まらない家のクローゼットには大抵コレがある…片付けのプロ証言「お金持ちの家には絶対ないもの」