これから普及する? 「パウチ酒」
お酒の容器の中でも今後拡大の可能性があるのが「パウチ酒」です。パウチとは、いわゆるレトルト食品をパッケージングする際に用いられる密封できる袋です。日本の食卓では、レトルトカレーがなじみ深くイメージしやすいと思います。
日本酒好きを悩ませるのが、日本酒を冷蔵庫で保存する際の容量です。日本酒は空気に触れる面積を小さくするために、瓶を縦に保存するのが望ましいですが、家庭用の冷蔵庫に小さな4合瓶を入れると高さが出てしまい、どうしても横にして保管する場合が多いのが実情です。
また、紙パックもアルコールの浸透防止や酸化防止のため、層の内側にアルミやセラミック加工が施された多層構造になっており、キャップがプラスチックになっています。そのため、解体するのは大変で、地域によってはゴミの分別が面倒という欠点がありました。
こうした声を受け、日本で最初にパウチ酒を発売したのが京都府の宝酒造です。
日本酒好きの悩みを解決した画期的商品
2011年から印刷会社の大日本印刷と共同開発した「松竹梅『天』900mlエコパウチ」が販売されました。
パウチは途中で曲げることができるので、たたんで冷蔵庫の隙間に収納できますし、容器に使用される素材すべてがプラスチックなので、分別せずに丸めてそのまま捨てられるといったメリットがあり、瓶や紙パックの弱点を解消しました。
さらに2014年には、新潟県の菊水酒造から「菊水スマートパウチ」が登場しました。
最大の特徴は空気に触れない点です。他のパウチ酒と異なり、給水するためのプラスチックの蛇口がついた見た目が印象的ですが、これも空気に触れさせないための工夫です。
スマートタップと呼ばれる蛇口は、ボタンをプッシュするとお酒が注がれますが、いくら注いでも空気がパウチパックの中に入ってこない構造になっています。これにより、フタを開け閉めする必要がなくなった上に、空気が入らないから開栓後もいつでも新鮮な状態でお酒を楽しむことができます。ちなみに、「菊水スマートパウチ」は実はフランスのワイン用パウチを参考にしたそうです。