イライラする原因はセロトニン不足

④たんぱく質は、心の健康にも欠かせない
→不足すると、“幸せホルモン”が不足する

やる気が出ない、気分が落ち込む、イライラする……そんな心の不調の原因のひとつと考えられるのがセロトニンという脳内の神経伝達物質の不足です。セロトニンは、“幸せホルモン”とも呼ばれ、心身をリラックスさせたり、意欲を増したりする働きがあります。

セロトニン不足は、自律神経や体内リズムの乱れなどによって起こりますが、そもそも、セロトニンの材料となるたんぱく質が不足していると産生量が低下し、意欲が低下したりイライラしたり、落ち込んだりしやすくなります。

また、セロトニン不足になると、セロトニンを材料につくられる睡眠ホルモンのメラトニンの産生量も減り、睡眠のリズムが崩れてしまいます。

ほかにも、たんぱく質不足によって、元気ホルモンであるドーパミン、リラックスホルモンであるGABAなどの神経伝達物質も不足して、精神の不安定な状態につながります。

代謝が低下し、太りやすくなる

⑤たんぱく質は、消化吸収時に約30%が熱エネルギーになる
→不足すると、冷えやすく、太りやすくなる

平島徹朗、秋山祖久『たんぱく質と腸の新常識 絶対に漏らしてはいけない新しい腸活とたんぱく質の正しい摂り方』(Gakken)
平島徹朗、秋山祖久『たんぱく質と腸の新常識 絶対に漏らしてはいけない新しい腸活とたんぱく質の正しい摂り方』(Gakken)

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が50個以上集まり、さまざまな配列で複雑に結合してできています。食事で摂ったたんぱく質は、体内の消化酵素(これもたんぱく質からできている!)によって分解され、1個のアミノ酸や、アミノ酸が2~3個結合したペプチドという状態になり、小腸から吸収されます。

このようにして複雑に結合したたんぱく質が体内で分解され、吸収されるとき、その約30%が熱エネルギーになるのです。これを「食事誘発性熱産生」といいます。この熱産生量は午後や夜間よりも午前のほうが高いため、朝食を抜くと熱産生量が下がって、代謝が悪い体質になってしまいます。

つまり、たんぱく質を摂取することで熱が生まれて体温が上昇。逆に、たんぱく質が不足していると、体温が上がらず冷えやすくなり、さらに代謝が低下して太りやすくなります。

自分がたんぱく質不足かどうかを知りたい方は、図表3のチェックシートでセルフチェックをしてみてください。

【図表3】手軽にできるセルフ診断 「たんぱく質不足度」チェック
出所=『たんぱく質と腸の新常識』(Gakken)、イラスト=加納徳博
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