健康意識が高い人でも8割が不足している

では、私たちはたんぱく質の目標量を摂れているのでしょうか? 図表2のグラフを見る限り、答えはNO! たんぱく質の推奨量は、男性は20~65歳が65g、65歳以上が60g、女性は20歳以上が50gなので、推奨量こそクリアしていますが、目標量に対しては多くの世代でたんぱく質不足になっています。

【図表2】たんぱく質の平均摂取量の推奨量、目標量との比較
出所=『たんぱく質と腸の新常識』(Gakken)

もちろん、これは摂取量の話。「食事で摂り入れたたんぱく質がちゃんと吸収されているのか?」というのはまた別の話です。

私たちのクリニックでは、血液検査によってその人の栄養状態を調べる栄養解析(自費診療)を行っているのですが、たんぱく質量を調べたところ、不足している人がとても多いことがわかりました。

定期的に来院され、内視鏡検査を受けて健康管理をしようと思うほど健康意識が高い人たちが多くいるにもかかわらず、8割がたんぱく質不足という結果が出たのです。そう考えると、日本人のほとんどがたんぱく質不足! 決して大げさではなく、そう感じます。

つまり、“摂っているつもりが摂れていない”。それが、多くの人がまだ気づいていないたんぱく質の現実なのです。

三大栄養素の中でも「一番大切」

「たんぱく質は筋肉づくりやダイエットのために必要。でも、それ以上のことはよく知らない」という人が多いのではないでしょうか。

たんぱく質は英語でプロテイン。ギリシャ語の「最も大切」「第一の」という意味の言葉が語源とされています。医学も栄養学も発展していない時代から、人間は体験的にたんぱく質の大切さを感じていたのでしょう。私たちも「糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素のうち、一番大切なのは?」と聞かれたら、迷うことなく「たんぱく質」と答えます。

たんぱく質が一番大切な理由を、ぜひ知っておいてください。なぜなら、「知らずに食べるか、知って食べるか」の違いはとても大きいからです。知ることで納得できる→自主的に実践できる→自分に合う方法を考えられる→継続できる→体の変化を実感できる、という好循環が生まれるはずです。