まとめ
・日本のエネルギー自給率はたったの11%。エネルギー資源の実に89%を海外の国々に依存している。にもかかわらず、日本の停電時間は世界一短い。
・エネルギー供給を切らさないための、政治や外交、国内供給システム向上のための努力を、エネルギー安全保障という。
・エネルギーを毎日問題なく使うための、大事な4つの要素は、『S+3E』。Safety(安全)、Energy Security(安定供給)、Economic Efficiency(手頃な価格)、Environment(環境に優しい)。これら4つの要素を同時に成立させることは容易ではない。
・1970年代の石油ショックを経て、エネルギーの安定供給が、国の経済や将来に影響を与える最重要課題だということを国民全体が認識し、この後、石油依存から脱却するために、液化天然ガスや原子力の比率を増やし、エネルギー源の多様化に取り組んだ。
・パイプラインを使って輸送されていた天然ガス(Natural Gas)は、日本が完成させたプロセスによって、LNG(Liquefied Natural Gas 液化天然ガス)という新しい形態になった。液化することによって、ガスの体積は600分の1になり、長い海路を船で効率よく輸送できるようになった。
・2011年の福島の原子力発電所の事故を受けて、原子力発電が停止され、その後の発電に使うエネルギーは、LNGと石炭に大きく依存することになった。
・2015年頃から、地球温暖化の問題や気候変動リスクが世界的な課題として認識されるようになった。日本が再び化石燃料に大きく依存せざるを得ないタイミングで、世界から脱炭素化を突きつけられ、日本にとっては厳しいチャレンジとなった。