日本はエネルギー資源が乏しく、ほとんどを輸入に頼っている。しかし、大きな災害を除けば停電することはほとんどない。どうやって電力を安定供給しているのか。エネルギー・エバンジェリストの関口美奈さんの新著『13歳からのエネルギーを知る旅』(KADOKAWA)より、一部を紹介する――。
東京の夜景の空撮
写真=iStock.com/yaophotograph
※写真はイメージです

朝目覚めたら、部屋の電気がつかない

「ふぁ~」

モコは大きく伸びをしながら目を覚ました。辺りは真っ暗だ。

「う~ん、今何時?」

いつもならバックライトで時刻を示しているはずのデジタル時計が、今日はなんの表示もない。

「おかしいな」

充電器に差してあるスマホの画面にタッチしてみたが、こちらも反応がない。

「ありゃりゃ? 何?」

慌てて、電気をつけようとスイッチをパチッと入れたが、部屋中の電気がつかない。

「えっ? どういうこと?」

真っ暗な部屋の中でパニックになりかけたところで、階下からママの声がした。

「モコ~。起きなさ~い!」
「う、う~ん」

目をこすりながら体を起こして周りを見回した。あ、時計、動いてる。スマホも。

「今日は朝練なんでしょ! さっさと支度して、ご飯食べて、学校行かないと!」
「……夢、か」

モコは、ホッと胸をなでおろしてベッドから離れた。急いで身支度を整えて階段を駆け下り、トーストと目玉焼きと牛乳でエネルギーチャージすると、学校に向かって猛ダッシュした。走りながら、モコは考えていた。私たちは、毎日毎日、電気やガスを使っているけど、それって本当に当たり前のことなのかな?

世界中の「夜」はこんなにも明るい

翌日、3人はエナジーとのオンラインミーティングを知らせるルーティンのメールを受け取った。今回はいつもとは、ちょっと違っていた。メールの一番下に、どこかのサイトにつながるリンクが貼ってあり、「これ見て!」とエナジーのメッセージがついている。

4日後、約束の時間に3人がそれぞれの部屋からオンライン接続すると、エナジーの画面には、先日リンクで送られてきたのと同じ画像が映し出されていた。

「どう、きれいでしょ。これ、夜の地球よ」

もちろん、地球全体が同時に夜になるはずはない。その写真は、NASA(アメリカ航空宇宙局)等から提供された数百枚の衛星写真をつなぎ合わせたものだという。

「うん、とてもきれい! 初めて見た時、感動した」

3人は声をそろえて言った。

「いろんな夜の地球の画像がネットに掲載されているわ。動画もあるから、検索ワードに『夜の地球 衛星データ』って入れて探してごらん。これを見るとね、地球上のいろんな国や地域の経済活動がどれくらい活発か一目瞭然なの」