ディーラーや警察は「無知」なのか?

全部がそうとは言わないが、新車ディーラーや警察は「防犯対策をまともに知っているのか?」と思うほど適当なことを言う場合がある。その中の一つが、タイヤロックとハンドルロックの推奨だ。

警察の防犯サイトには「タイヤロックやハンドルロックは視覚的な抑止効果もあります。複数の盗難防止グッズを組み合わせることで時間稼ぎにもなります」などと書かれていることが多いが、これは決定的に間違っている。

まず、「視覚的な抑止効果」については、逆に窃盗団が下見をした際、対策品を用意するスキを与えてしまう。

「○○社のハンドルロックならこのカッターで切断できる」「××社製ならハンドルごと外せるので代わりのハンドルを用意する」「▲▲社のタイヤロックは1回転すれば外れる」などの対策で盗まれるということだ。

首都圏にあるトヨタ販売店はランドクルーザー250の防犯対策として、窃盗を茶化すような動画を作成して視聴者から大ヒンシュクを買っている。そして動画の最後に勧めたのは、破壊例も多く、ほぼ効果がないであろう簡易的なハンドルロックであった。

盗難対策に頭を悩ませているオーナーも多い中、これは本当に罪深い行為だと筆者は思う。

ディーラーを信じたレクサスオーナーの悲劇

また、今年6月にレクサスLXを盗まれた首都圏在住のオーナーは、納車の際、レクサスの担当者に「LXは盗まれやすいと聞いているが、社外セキュリティは付けたほうがいいのか」と問いかけた。担当営業からは「このモデルは最新の自動車盗に対応しているので社外セキュリティを付ける必要はありません」ときっぱり言われたという。

ディーラーの言葉を信じた結果、丸腰状態の2000万円近いLXはあっさりと窃盗団に持っていかれてしまった。

本当に盗まれたくなければディーラーや警察の言うことは真に受けてはいけない。2~3万円以下で簡単に取り付けができるものは簡単に破壊されると思っていい。

また、万が一愛車を盗まれた時は、できるだけ早くSNS等で拡散することをお勧めする。その際、XやインスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)は開放すること。

発見時の連絡先に警察署の電話番号を書いている被害者も多いが、警察がすぐに動いてくれるとは限らない。最も効果的なのは、盗まれた車のオーナーに直接連絡をすることだ。これも誰もが見られるコメント欄ではなくDMで連絡をするのがベスト。DMでオーナーに直接、目撃情報が届き発見、返還に至った例もある。

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