元気やエネルギーを与えてくれる「パワーポーズ」

頭を後ろにそらして相手を見下ろそうとしたり、偉そうに腕を組んだり、足を大きく開いて座ったりする姿勢は、尊大でいばって見えますので、基本的にはやらないほうがいいとされています。

けれども、元気が出ないときにはあえてそういうポーズをとってみるのも悪くありません。

なぜなら、そういうポーズは、心理学には「パワーポーズ」と呼ばれていて、私たちにパワー、すなわち元気やエネルギーを与えてくれるポーズだからです。

ケンブリッジ大学のイ・ウンヘは、パワーポーズの効果を確認するため、重りの入った段ボールを持ち上げ、その重さを推測してもらうという実験をしたことがあります。

参加者が持ち上げるのは2回。1回目は普通に持ち上げてもらい、2回目はパワーポーズをとらせてから、あるいは弱々しいポーズをとらせてから、持ち上げてもらいました。

この実験でのパワーポーズは、イスのひじ掛けに腕を乗せ、片足の足首をもう片方の太ももに乗せるというポーズ。

弱々しいポーズのほうは、肩を落としてうなだれ、手を太ももに置いて、両足をぴったり閉じて座る、というものでした。

この姿勢を3分間とってもらったのです。

「力が出ない」のは、悪い姿勢が原因の可能性

では、段ボールの重さの推測値はどうなったのでしょうか。

それぞれのグループの答えの平均を見てみましょう。

パワーポーズをとったグループでは、ポーズをとる前は3.17kg、ポーズをとった後は2.83kgとなりました。

一方、弱々しいポーズをとったグループでは、ポーズをとる前は3.30kg、ポーズをとった後は3.40kgとなりました。

パワーポーズをとった後には、「なんだ、こんなもの」と段ボールを軽いと感じたことがわかりますね。逆に、弱々しいポーズをとると、より重く感じてしまうようです。

あなたは、普段どんな姿勢をとっているでしょうか。

街中を歩いているときに、お店のウィンドウに自分の姿が映ったら、ちょっと確認してみましょう。

内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)
内藤誼人『考えすぎて動けない自分が、「すぐやる人」に変わる本』(明日香出版社)

猫背で、うなだれた姿勢になっていたりしませんか。だとしたら、自分でも気がつかないうちに元気が奪われる姿勢になっているということです。

私たちは、自分の姿勢というものをあまり意識していませんが、それはよくありません。

弱々しい姿勢をとっていると、心のほうも落ち込みやすく、ネガティブな方向に行きやすくなります。

「力が出ない」のは、悪い姿勢が原因かもしれません。

最近は、スマホの画面を見つめすぎて、いわゆる“スマホ首”に悩んでいる人も多いのではないかと思いますが、スマホ首の姿勢はまさしくうなだれた首の姿勢。そういう姿勢をとっていたら、元気が出ないのも当然です。

(イラストレーション=神林美生)
【関連記事】
【第1回】"他人の評価"を気にするとムダな時間と労力がかかる…「すぐ行動できる人」に生まれ変わるたった1つの方法
意地悪をされたときはこれに限る…群衆の前で罵声を浴びせられたブッダが返した"ぐうの音も出ない言葉"
「眠れない」と悩む人に朗報…最新研究が明かす「眠っている自覚がなくても脳は回復している」事実
「報道ステーションの司会」は本当に苦しかった…"名実況"が通用しない古舘伊知郎さんを救った「養老先生の言葉」
「10個のリンゴを3人で公平に分けるには?」有名な思考クイズをひろゆきが解いたら…答えが斬新すぎた【2023上半期BEST5】