イライラは利用してしまうのがベストとはいえ、日常的な対策としては解消法も知っておきたいもの。

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処方箋

なぜならストレスは積み重なって許容量を超えると対処が難しくなるからです。たとえば床のホコリは毎日掃除すれば簡単に処理でき、床も清潔に保てます。ですが、長年放置してしまうと、積もったホコリ自体は払えても、ホコリのあった跡がシミとなって残り、床を駄目にしてしまいます。これと同じように、積み重なって許容量を超えたストレスは心のなかのシミとなり処理が難しくなってしまいます。

ですからイライラは溜め込まず、毎日こまめに吐き出しておくことも大切。そのためには、手軽で具体的な方法を、いくつも身につけておきましょう。

例えば紙をグシャグシャに丸める、びりびりちぎる、デスクからトイレまで歩数を数える、状況が許せば携帯ゲームなどに数分間熱中する……要するに何かに集中して、短時間でも意識をほかに向けてしまえばいいのです。

ストレスは、思考が頭の中で堂々巡りしていることが原因になっている場合が多い。気に入らないという思いがグルグル脳のなかを駆けめぐっている状態です。

その連鎖を断ち切るには、意識をほかに向けることが必要なのです。

イライラを言葉にして紙に書き出すのも、文字どおり吐き出す方法の1つです。米国カリフォルニア大学のソーニャ・リュボマースキー博士が96名の学生を3群に分けて行った実験(「人生最悪の出来事」について考える)では、次のような結果が出ています。

(1)「出来事と感情を紙に書き出したグループ」が最も人生満足感が高まり、(2)「テープに吹き込んだグループ」も効果的だった。(3)「頭の中であれこれ考えただけのグループ」は不快感を発散できず、かえってモヤモヤが残った。

他人相手にお喋りしてもいいのですが、愚痴っぽい人間と思われる恐れがある点がマイナス。やはり、紙に書き出して、自分だけの作業にしておくのがベターです。

不快な感情を書きつけたあと、結末は「だけど俺(私)は長生きするもんね!」などとポジティブな方向でまとめるのがポイントです。

また、自分の部屋を真っ暗にしてボンヤリするのもお勧め。照明を消しただけで血圧が下がったというデータもあります(カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学のピーター・スードフェルド教授による)。現代人は常に情報過多の状態に置かれているので、目から入ってくる刺激を遮断するだけでもイライラ感の軽減に繋がるのです。

刺激を遮断して気分転換するためには、夜空など遠くをじっと見つめるのもいいでしょう。職場にいる場合なら緊急避難的にトイレの個室に5分間でもいいから籠もる。あるいは思い切って1日休暇を取ってしまう。

僕は田舎暮らしをし、週末は草木や動物だけを相手にして、あまり人に会いません。これも刺激コントロールによるイライラ解消策の1つです。

(構成=小山唯史)
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