「これからも県民のためにやっていきたい」
斎藤元彦兵庫県知事(46)が泣いた。
メディアからどんな辛辣な質問を受けても能面のように表情を変えず冷静に答えていた斎藤知事が、9月11日の定例記者会見で、「2021年の知事選で斎藤知事を推薦した自民からの辞職要求について尋ねられ、『こういう状況になったことは大変申し訳ない。自分自身に対して悔しい思い』と涙ぐんだ。
そのうえで、『私は決して完璧な人間ではないので、間違いもあったかと思うが、これからも県民のためにやっていきたい』と述べた」(読売新聞オンライン09/11 23:29)
しかし、不信任案が可決された時にはどうするかと聞かれ、「法律の規定に基づいて判断する」とだけ語り、辞任するとはいわなかった。
総裁選も話題だが、より全国の耳目を集めているのは、「なぜ斎藤知事は辞めないのか」のほうであろう。
斎藤知事は文字通り四面楚歌である。彼が総務省時代に知り合い、知事になってからは「牛タン倶楽部」と呼ばれるほど仲の良かった片山安孝副知事(当時、以下同じ)など4人も、辞職したりして斎藤氏から離れてしまった。
県議会議員のほとんどが「辞めろコール」を合唱している。新聞、テレビ、週刊誌も連日のように「斎藤が県政を混乱させた。辞めるべきだ」と報じている。
なぜここまでして知事の座にしがみつくのか?
知事選出馬の際、推薦してくれた自民党はもちろん、最後までグズグズしていた日本維新の会も、吉村洋文大阪府知事を送り込んで「辞任要求」を突きつけた。
メディアによると、兵庫県民も、「県の恥さらし」「どないかしてクビにしてほしいわ」と、辞めろ辞めろの大合唱だと報じている。
私の周りでも、「あんな“おねだり”なんて意地汚いことが明らかになったら、恥ずかしくて辞めるんじゃないのかね」と手厳しい声が多い。
私は天邪鬼だから、多くの人が右を向くと、左を向きたくなる。斎藤知事は、「赤旗」日曜版で裏金問題を暴露されたカネまみれの自民党議員たちよりも“悪質”で、どうしようもない人間なのだろうか?冷静沈着に見えるのは、人間の感情をなくした冷血漢だからなのか?
私の手元にある資料のほとんどが斎藤知事への批判や罵詈雑言であふれているし、私が斎藤知事について何ほどのことを知っているわけでもない。
しかし、これまでの報道を私なりに読み込み、検証していくことで、斎藤知事の別の側面も見えてくるかもしれない。斎藤知事がなぜここまで知事の座にしがみついているのかという疑問を解く手がかりが得られるかもしれない。
読者諸兄のお叱りを覚悟のうえで、ここに記してみようと思う。