“身を切る改革”で自身も年収を減額している
このあたりから、県職員、県議会とのズレが始まっていたのかもしれない。だが、コロナ禍で在宅勤務は増えたし、育児などをする共働きの夫婦にとってはありがたい働き方になっている。都会と地方の違いはあるだろうが、斎藤県政の根幹を揺るがすような「悪政」ではないと、私は思うのだが。
斎藤知事は、自分の給与・退職金についても“改革”している。週刊新潮(9月19日号)によれば、年収は、「本来だったら約2471万円でしたが、約1775万円に減額」(県人事課の担当者)しているのだ。
また退職金についても、「本来なら来年7月の任期満了まで務めた際の満額は約4052万円だった。だが、維新に擁立された斎藤知事は就任後、自らに“身を切る改革”を課して、これを約2026万円に減額した」(新潮)というのである。
斎藤知事はまさか自分が辞任する事態に追い込まれることなど考えていなかったのだろうが、減額自体は褒められてしかるべき“改革”だと思うのだが。
今回、斎藤知事を追い詰めることになった内部告発について見てみよう。
元西播磨県民局長は、斎藤知事による職員へのパワハラ、企業へのおねだりなど7項目にわたる“疑惑”を記していたといわれる。
優勝パレードにまつわる背任疑惑、商工会議所に圧力…
斎藤知事に関する疑惑は朝日新聞(同)によれば、パワハラ、贈答品を受け取った、産業労働部長を連れて商工会議所などに出向き、知事選の投票依頼をしたという3点。
片山副知事の疑惑は、①昨秋のオリックス・阪神タイガース優勝パレードの寄付金集めで、金融機関に補助金をキックバックさせた、②公益財団法人理事長に対して、副理事2人の解任を通告し、強いストレスを与えた、③知事の政治資金パーティーの購入で商工会議所などに圧力をかけたという3点。そのほかに県幹部らが知事選の事前運動をしていたという1点である。
この告発文書は最初、県庁内の保護法に基づいた公益通報窓口を使わずに、3月12日に匿名で一部の県議や報道機関に配布された。
時系列で見ていこう。斎藤知事がその存在を知ったのが各種報道によれば3月20日だという。翌日、斎藤知事が片山副知事らに徹底的に調査するよう指示したという。
週刊文春(9月5日号)は、告発文の作成者が局長であることがあまりにも早く特定されたのはなぜかと疑問を呈し、その理由は、「これについては、百条委で県職員が証言した。三月二十二日、人事課長がデジタル改革課の職員に依頼して、X氏(告発した局長=筆者注)ほか数人の電子メール一年分のデータを提供させたらしい」(百条委の議論を聞いた県議の一人)からだという。