夫婦関係をよりよくするにはどんな心がけが必要か。心理学者の内藤誼人さんは「夫も妻も家事は『自分のほうがたくさんやらされている』と思っています。自分ばかりがソンな役回りをしていると感じやすいものなのです」という――。

※本稿は、内藤誼人『世界最先端の研究が教える新事実 対人心理学BEST100』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

結婚指輪は安くしたほうがいい

読者のみなさんはご存じないかもしれませんが、かつて「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーがありました。少し前までほとんどの人が、結婚をするときにダイヤモンド付きの婚約指輪を選んでいました。「ダイヤモンドの輝きのように、結婚生活も永遠に続きますように」という願いを込めていたわけです。

ダイヤモンドはとても高価です。私が若い頃には「婚約指輪の値段は月収3カ月分」などとも言われていました。月に30万円を稼ぐ人なら、だいたい90万円くらいの指輪を選んでいたのではないかと思います。けれどもダイヤモンドにお金をかけるのはあまりよくない、というデータがあります。

米国ジョージア州にあるエモリー大学のアンドリュー・フランシス=タンは、3000人以上の既婚者にアンケートを配布して、結婚式にかけた費用と結婚生活についての調査をしました。同性婚や13歳未満、60歳以上で結婚した人を除いて分析したところ、結婚指輪や結婚式にお金を「かけなかった」人ほど、結婚生活は長く続いていることがわかったのです。

指輪をした手を重ねる男女
写真=iStock.com/rai
※写真はイメージです

最近ではあまりお金をかけない少人数の結婚式や家族だけの結婚式というスタイルも流行っているそうです。心理学的には、お金をかけない結婚式は正解といえるでしょう。

この結果から、「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーは、まったくのウソであるということがわかります。お金をかければ結婚生活もうまくいくのかというと、まるでそんなことはなかったのです。

では、なぜ結婚指輪や結婚式にお金をかけるのがよくないのでしょうか。その理由は、結婚に対して理想と期待ばかりが大きく膨らんでしまうから。「結婚したら、きっと素晴らしい生活が待っている!」という期待ばかりが膨れ上がってしまうのです。

ところが実際の結婚生活は、テレビドラマや映画とは違います。素晴らしいことばかりではありません。失望することもたくさんあります。むしろ、結婚前の期待が大きければ大きいほど、失望も大きくなります。「こんなはずじゃなかった……」となってしまうのです。

その点、結婚指輪や結婚式にあまりお金をかけない人は、現実的だといえます。期待も小さいので失望することもなく、普段通りに結婚生活を送ることができるのです。

読者のみなさんが男性で、結婚を考えている女性から「指輪は絶対にダイヤ付きだからね!」と求められたとしましょう。そのようなときは、結婚指輪にお金をかけると、離婚の確率が高まってしまうことを教えてあげてください。