「大のトランプ嫌い」から一転、迷走の副大統領候補に
今年11月5日の米大統領選を前に、共和党のドナルド・トランプ陣営の旗色が冴えない。トランプ氏自身が陰謀論めいた言動で混乱を招いているほか、輪をかけて痛手となっているのが、副大統領候補に自ら指名したJ.D.ヴァンス上院議員の迷走だ。
ヴァンス氏はかつて、極端なトランプ嫌いで知られた。自身のTwitter(当時)で、「なんという馬鹿者」「アメリカのヒトラー」などと厳しい批判を繰り広げていた経緯がある。
しかし、トランプ氏の強烈なキャラクター性が自身の政治家生命に有利に働くと判断すると、熱烈なトランプ支持者に転向。知名度向上のため、到底支持できない政治家の尻馬にあえて乗った格好だ。
同床異夢のトランプ陣営は、有権者に見透かされている。着実に支持層を広げるライバル・民主党のカマラ・ハリス氏(現副大統領)に対し、激戦州7州のほぼ全域でリードを失った。暴走するトランプ氏とその副大統領候補のコンビに、共和党支持者たちの間にも当惑が広がる。
激戦州のほぼ全てでリード失う
米ニューヨーク・タイムズ紙は8月14日、トランプ陣営の停滞を報じている。バイデン大統領が選挙戦から撤退し、民主党がハリス氏を正式指名した8月6日以降、「大統領選がわずか数週間で様変わりした」と指摘する内容だ。
同紙の独自調査、および非党派の選挙予測誌『クック・ポリティカル・レポート』などによる世論調査によると、選挙戦を占ううえで重要なスイングステート(激戦州)7州のうち6州で、ハリス氏がややリードあるいは接戦になっている。
バイデン大統領が選挙戦から撤退し、後継者にハリス氏を指名したことで、ハリス氏の好感度が13ポイントの急上昇をみせた。ハリス氏は民主党支持者のみならず、無党派の男性層からも強い支持を受けている。