環境問題やサステナビリティといった「正しさ」だけでは、人は動かない。富裕層を突き動かしているのは、もっと本能的で抗いがたい魅力だ。富裕層マーケティングを長く手掛ける西田理一郎さんは「私がその『正体』を肌で理解したのは、熊料理と出会った瞬間だった」という。なぜ熊のローストや熊鍋のために、彼らは高額なお金を払うのか――。
「話のネタ程度」と思っていたら、驚愕した
最近、某所で熊料理を食べる機会があった。知人の紹介でしか辿り着けない隠れ家だった。
正直に言えば、食べる直前まで半信半疑だった。「熊なんて、話のネタにはなるだろうが、味は二の次だろう」と。しかし、その浅はかな先入観は、最初の一皿で粉々に打ち砕かれた。
出されたのは、ヒグマのロースト。ナイフを入れると、抵抗なくすっと切れる。口に運んだ瞬間、驚愕した。臭みなど微塵もない。それどころか、ナッツのような香ばしさと、果実のような甘みが鼻腔を抜けるのだ。
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