学校現場で働く教員にとって、どんな業務が負担になっているのか。大阪市の公立小学校に勤務する松下隼司さんは「よく挙げられるのは部活動の指導や通知表の作成、放課後のトラブル対応だが、一般の方には知られてないけれども、削減していくべき仕事はまだまだある」という――。
積み上げられた書類に押しつぶされそうな人
写真=iStock.com/ArLawKa AungTun
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「給料増」より「仕事減」を求める理由

学校の仕事量の多さは、海外と比較すると一目瞭然です。

【図表】各国の教職員の業務内容
日本と違い、アメリカやヨーロッパ、シンガポールでは教職員が給食時間の食育や校内清掃指導を行わない(出典:文部科学省資料「②.学校・教師が担う業務の明確化・適正化」)

図表1を見てわかるように、日本の学校の業務量は、海外の先進諸国の学校と比べて圧倒的に多いです。

「登下校の時間の指導や見守り」や「給食指導」や「家庭訪問」など、日本以外ではやっていない国が多いのです。そのため、多くの教員が朝から夕方まで休憩もなく働き続けていることは前回記事で紹介しました。

だから、最近、教員の働き方や給与を定める法律「給特法」の見直しで、残業代の代わりに給与に上乗せされる「教職調整額」を月給の4%から10%以上に引き上げようとする動きが出ても、同職からは

「もっと抜本的な改革を!」
「待遇改善でなく、長時間労働の縮減を!」
「給与増より、仕事減を!」
「長時間労働を助長する危険がある!」
「働かせ放題に納得させるための上乗せか⁉」

といった反応が多くありました。

部活動については改革が進んでいるが…

“教員不足”の問題も大きく取り上げられるようになりました。この教員不足の問題の解消は、“給与改善”だけでなく“労働環境の改善”もセットで行わないと進みません。

教員を疲弊させる業務としてよく挙げられるのは、部活動の指導、通知表の作成(実は学校が作成しなければならないという法的な義務はありません)、生徒が帰宅した後のトラブル対応(万引き、ケンカ、近所迷惑、SNSなどのトラブル)です。

そこで、働き方改革の一環として、部活動の改革が少しずつ進んでいます。教員の残業や自宅に持ち帰っての仕事が少しでも減ることが目的の1つです。

たとえば、これまで教員が行っていた休日の部活動指導や大会の引率を、地域のスポーツクラブや民間企業・団体などに移行し始めています。

※文部科学省「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について

しかし、部活動の他にも減らしていく仕事が山ほどあります。そこで今回は、部活動と違って目立たず、一般の方には知られてないけれども、削減に向けて改革していくべき学校の仕事を3つ知っていただきたいです。