中央線沿線は八王子あたりが「限界」
市部はどうだろうか。「住みたい街ランキング」常連の吉祥寺がある武蔵野市は代謝率13.3%。地価も上がっているが、住民の高齢化もあるのだろう。人口がわずかだが減少している。国分寺や立川も元気だ。代謝もよく地価は4%台の伸びだ。
気になったので、昨今マンション解体問題で話題の国立を見てみよう。代謝率は変わらないものの、地価上昇率が3.37%と、国立を挟む国分寺、立川の水準よりも一段落ちている。事件前の数値とはいえ、数字は正直だ。
中央線をさらに西に行くと、日野を過ぎて八王子あたりが限界だ。代謝率は8%に落ち込み、人口減少が顕著だ。青梅になると代謝率は6.9%。地価上昇を期待するのは難しいだろう。
東京はあまり西に行き過ぎてはいけない
意外なのが町田だ。代謝が弱く、地価上昇も2%にとどまる。人口も減少している。多摩方面も厳しい。武蔵村山や東大和といった都心までかなりの通勤時間を要する街になると代謝率も落ち、地価は反応しない。五日市線あきる野になると代謝率は6.9%。限界である。
結論。東京は都区内が安定していて資産性が保てるエリアは広いが、できれば下町よりも山の手を選びたい。湾岸部のタワマンは武蔵小杉と同様に考えてよいが、長期保有せず、マーケットをにらみながらの早めの出口を探す投資金融商品と割り切ればよい。
市部は立川あたりまでが安定しているがさらに西は八王子が限界ラインとみる。多摩方面や立川から北も厳しい。東京はとにかく東西に広い。あまり西に行き過ぎないことだ。
人を集め続けている東京ですら、2030年以降はその吸収力が弱まり、人口減少に転じていくという。東京を取り囲む3県はすでにこの問題に直面をし始めている。だが人はエリア、街に満遍なく均等に住んでいるわけでも移動をしているわけでもない。人の新陳代謝が活発な街を選ぶことが資産性を維持する目の付け所である。ぜひ住まい探しのご参考にしていただければと思う。