すべての人が機嫌よく生きられることを目指す

人生は、自分ひとりで生きているわけではない。必ず他者との関係性の中でわたしたちは生きている。家族との関係、仲間との関係、チームメイトとの関係、地域との関係、上司との関係、クライアントとの関係、部下との関係、お客さんとの関係、他人との関係などなど枚挙にいとまがない。

それらの関係する自分以外の人、すべてに「生きる」があり、彼ら彼女たちもまた何をするのかの「内容」とどんな心の状態かの「質」の両方でできた「人生」と「生きる」というパフォーマンスをやっているのだ。隣にいる人も、前にいる人も、一緒にいる人も、いない人もみんな同じ構造だということを忘れてはいけない。

何をするのか、何をしているのか、何をしなければならないのか、などの「内容」はそれぞれだが、この構造はすべての人、すべての瞬間で同じなのだ。そして、「機嫌がいい」でないと、その人の「生きる」の「質」も低下しているわけである。この仕組みを知らない人は、知らないからまわりでも平気で機嫌が悪くなっているわけなのだ。どんな理由があれ、「機嫌がいい」を手放したら、「質」は落ちていくということだ。

そこで、人と接するときも、この2つの軸を意識すればよい。人はそれぞれ複雑に生きているが、この構造がわかっていればシンプルに人と社会を見ることができる。

他者の心の状態を良くするアプローチが支援になる

そこで、他者との関係において「内容」について触れるのを「指示」と呼び、どんな心での「質」かについてアプローチすることを「支援」と呼称する。「支援」とはおごってあげるとかではなく、「機嫌」や心の状態、あるいは「質」を大事に他者に接することをいう。

他人との関係は、人の仕組みがわかっていれば、この「指示」と「支援」でできているといっても過言ではないことを理解できるだろう。

「指示」は明確かつ具体的に、ときには厳しくてもいい。行動の内容に関しては、友だちでも悪いことをしようとしていたら、ダメだと言える関係が大事だ。上司や親やコーチは部下や子どもや選手に対して、行動の内容に対して「指示」の責任があるだろう。

一方でどんな人にも心の状態があり、質が存在する。それは部下や子どもや選手にもだ。

彼らはみな人間だから、当然だ。その心の状態に「機嫌がいい」をもたらすアプローチのことをあらためて「支援」と呼ぶ。ここでいう「支援」は助けてあげるとかボランティアや金銭的サポートではない。心の状態、すなわち「質」への配慮を他者にすることだ。