幸福な人生を送るには何が必要なのか。産業医の辻秀一さんは「どんなにやりたいことをやっていても、心が“ごきげん”な状態でなければ人生の質は低下する。自分の機嫌を自分でとれる人は、周囲の人も幸せにする」という――。

※本稿は、辻 秀一『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

在宅ワークをする女性
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「気分」と「機嫌」はどう違うのか

人間は心の生き物だ。つまり、何かを感じて生きている。さまざまな感情を抱いて生活し仕事をしているのだ。その心の状態をどう表現してマネジメントするのか?

日本では、心の状態を「気持ち」とか「気分」とかで表現してきた。ただ、「気持ち」も「気分」も心の状態だけでなく、じつは「考え」、つまり「思考」も入ってしまっているのだ。

今は休みたい気分。これは心の状態ではなく「考え」だ。みんなを喜ばせたい気持ち。これも明らかに「思考」のことをいっている。

そこで日本には、心の状態を表現する最適な用語の1つとして「機嫌」という言葉がある。

「機嫌」は間違いなく心の状態を示していて、わたしたち日本人なら、胸の辺に感じるものだ。

「機嫌がいい」とか「機嫌が悪い」という感じは、胸のあたりの心の状態を表現している。