限りある、生きている時間の質を高めるために
心の状態はとかく見えないので忘れがちだが、どんな人にも「機嫌」があって、仕事も人生も送っているのだ。しかし、ただ闇雲に「機嫌よくやれ」と言われても、なかなかピンとこないのもまた事実だ。
わたしがそれに気づけたのはパッチ・アダムスの「質」の概念があったからである。人生は死ぬことだけは決まっていて、その生きている間のすべてに「質」があるということの理解が、わたしをこの考え方に興味を持たせたのだ。
最初から直球で心の話だったら、もしかしたら抵抗感があったかもしれない。「心」というと、まず最初の印象は宗教だ。さらに、もう1つの印象は精神科。病んだ心についてだ。
わたしがパッチを通じて、心の状態に興味を持てたのは、それが人生の質、行動の質、思考の質、関係の質、時間の質に関わっているのだということを理解できたからだった。それで、これまでとはまったく違う視点で、心の状態への関心を素直に持つことができたのだと思う。
機嫌をマネジメントしなければ人生の質が下がる
すべての人が「生きる」というパフォーマンスを死ぬまで行う。そこには何をするのかの「内容」がどの人にもある。なので、どの人もその「何を」するかを考えて実行し、生きることに全精力をかけている。それこそが人生だと思い込んでいるからだ。
しかし、それだけだと「どんな心の状態で」という「質」の概念を無視しているので、ストレスばかりがかかり不機嫌な人生になる。明らかに「well-being」ではない。何かをやってうまくいったらごきげんになれるとか、自分のしたいことができたら「機嫌がいい」自分でいられると思いながら、人生の試合に悪戦苦闘して、ひたすら量で勝負し続けることになる。
しかし、人生と仕事には「質」がある。すなわち、「機嫌」という心の状態が重要だ。ということは、その「機嫌」をマネジメントしてごきげんな心を整えることができないと、人生の大半を決めている「質」というところが台無しなのだと。
心を整える自分と、何をしないといけないのか考え実行する自分。この両者を大事にすることが何よりも生き抜く力になるということなのだ。