政策決定者が高齢の人ばかりだった

当時の日本がなぜITに積極的に投資をしなかったのかというと、政策決定者が高齢の人ばかりで、ITの将来性が読めなかったからです。

自分たちが理解できないものに予算は使えないということで、IT推進のための投資は行われませんでした。

若手のITビジネスのリーダーが育たなかったということもあります。ITの技術に詳しくても、お金がなかったので起業することすらできなかったのです。

60代でお金を持ってもチャンスはない

さらには、国全体の高齢化の問題もありました。たとえば70歳の人が死んで遺産を子どもが受け取ると、子どもの年齢は40歳くらいです。

40代でまとまったお金を得ることができれば新たに起業してみようとか、将来成長しそうなIT企業に投資する意欲も湧いてくるでしょう。

しかし実際は、日本国民は長寿なので、80代90代まで生きることもまれではありません。仮に90代で亡くなったとして、遺産を受け継ぐ年齢は60代くらいになってしまいます。

40代ならともかく60代で遺産を得たとしても、そこから起業しようという人は少ないでしょう。

つまり、新しいビジネスに若手のビジネスマンが取り組んでいれば儲かるチャンスがいくらでもあったのに、お金が回ってこないため、そのチャンスをみすみす潰してしまっていたのです。

車椅子の男性の手
写真=iStock.com/itakayuki
60代でお金を持ってもチャンスはない(※写真はイメージです)