今国会では、20年以上も停滞していた、安定的な皇位継承の在り方の議論が本格化しそうだ。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんは「先日の共同通信社の世論調査では、90%が『女性天皇』を認めると回答している。政府・国会は、こうした『国民の総意』を無視した案を軸に検討を進めようとしており、中でも『旧宮家養子縁組プラン』は、憲法違反になる可能性があるばかりでなく、皇統の断絶や王朝交替の危険性も秘めている」という――。
90%が「『女性天皇』認める」
去る4月28日、共同通信社が皇位継承問題をめぐる世論調査の結果を発表した。
国会において「立法府の総意」を取りまとめる各党の協議がまさに始められようとするタイミングで発表された調査結果は、注目すべき内容だった。
この調査は郵送によるもので、回答者自身がわざわざ返送した。その手間を考えると、皇室というテーマについてある程度、関心を持つ人が多く加わっている可能性も想定できる(返送総数2061、代理回答などを除き有効数1966、全体の回収率65.5%)。
皇位継承問題における最大の焦点というべき「女性天皇」についての結果はどうだったか。
「あなたは、女性皇族も皇位を継ぐ『女性天皇』を認めることに賛成ですか、反対ですか」という質問への回答は、「賛成」(52%)「どちらかといえば賛成」(38%)の合計がピッタリ90%だった。これは極めて高い比率だ。
「どちらかといえば反対」(6%)「反対」(3%)の合計はわずか9%。1ケタにとどまった(無回答が1%)。
一般的に世論調査において、特定のテーマへの回答で100%賛成とか反対という数字はあり得ない。もし80%を超えたら驚異的に高い比率といえるだろう。ところが、女性天皇を認めることへの賛成は、多少の温度差があっても90%が賛成という結果だ。これはもうほとんど「国民の総意」と表現しても、決して言い過ぎではないだろう。
政府・国会としても、明白な「国民の総意」を無視することは許されないのではないか。