一致する「皇室の意思」と「国民の願い」

羽毛田氏は平成時代に上皇陛下、今上陛下、秋篠宮殿下のお三方による毎月の話し合いが始まった当時の宮内庁長官だった。話し合いの場には長官も陪席を許された。

この話し合いの最も重要なテーマは皇位継承問題だったと拝察される。話し合いを重ねることで、このテーマについてのお三方の合意はすでに確保されている、と受け止めるのが自然だろう。

羽毛田氏は話し合いが開始されてほどなく長官を退任しているが、お三方の合意内容を最も正確に知り得る立場の1人だった。

そうした事情を踏まえると、講演での羽毛田氏の発言は当然、お三方の合意を踏まえたものと考えなければならない。少なくとも、それに背くような発言はできないはずだ。そうであれば、女性天皇、女系天皇についてのお三方のお考えがどのようなものであるかは、おのずと察することができる。

それは最初に紹介した共同通信の世論調査の結果が示す国民の圧倒的多数の意向(女性天皇を認める=90%、女系天皇を認める=84%)とも合致する。

憲法上、天皇は「国民統合の象徴」であられ、その地位は「国民の総意」に支えられるべきものとされる。政府・国会には、皇室ご自身のお考えと圧倒的多数の国民の願いに、誠実に応える義務があるのではないか。

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