落とし穴3:長期運用は想像以上に難しい

イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』でも説明しているように、新NISAでは、長期運用が重要です。しかし、「長期運用」と口で言うのは簡単ですが、やってみるのは意外と難しいものです。

小林亮平『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)
小林亮平『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)

ぜひ想像してみてほしいのですが、あなたが今後、暴落に直面して大きな含み損を抱えてしまった時、それでも慌てずに運用を続けることはできますか? もしくは新NISAを始めたものの、急にまとまった現金が必要になってしまったら、すぐに売ってしまいませんか?

2021年の三菱アセット・ブレインズ株式会社の調査によると、投資信託の平均保有期間は約3年というデータもあり、それだけ短い期間で売却をしてしまう人がどうしても多いのが現実です。

ところが短期間で売却すると、非課税期間無期限という新NISAの大きなメリットを活かすことができません。目先のわずかな利益に目がくらんで売却してしまい、将来手に入れられる大きな資産を逃してしまう人も出てくるでしょう。新NISAにおける長期運用の重要さを理解していても、20~30年と運用できる人はほんの一握りかもしれません。

そのため、新NISAの基本的な戦略として、買ったら持ち続ける「バイ&ホールド」を徹底しましょう。長い目で見て右肩上がりが期待できるインデックス投資なら、買った分を放置しておくだけで利益が期待できますからね。

また、新NISAで短期的に売買を繰り返す人もいますが、皆さんは真似しないようにしましょう。これは投資ではなく、いわゆる投機で、ある機会において短い時間でお金を投じる手法です。

株式投資もトレード(機会を見計らって、株式を買ったらすぐ売って利益を狙う方法)なら、短期的に売買を繰り返す点で投機になります。トレードは短時間で売買する分、株式市場全体の規模が大きくなっているわけではないので、利益を奪い合っている参加者全員の損益を合計するとゼロになる、ゼロサムゲームと言われます。