体の不調にはどう対応すればいいか。順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんは「『病は気から』という言葉があるが、まさにその通りだ。体の調子が悪いから、原因を自分で調べようとインターネットで検索をして、不安になるような病名がずらっと並んでいるのを見て、自律神経が乱れて本当にメンタルの病気になってしまうこともある。まずは深呼吸をする、整理整頓をする、食生活を見直すといった、できることから始めて、負のスパイラルを終わらせることだ」という――。
※本稿は、小林弘幸、毛利啓銘『自律神経を整えれば「食いしばり・歯ぎしり」は解決する』(宝島社)の一部を再編集したものです。
バランスの良い食事を「おいしく」楽しんで食べる重要性
私は30年以上にわたり、自律神経について研究をしてきました。
そして、心と体の健康を保ち、パフォーマンスを上げるためには、自律神経の働きがきわめて重要であると確信を持つようになりました。
ポイントになるのは、交感神経と副交感神経のバランスです。そして、自律神経のバランスを整えるためには、人間のライフラインともいえる、「食事」と「呼吸」が大事なのです。
「食事」は、栄養を取り入れて生命活動を維持するだけでなく、自律神経のバランスを高いレベルで整えることができるものです。
朝、昼、夕、一日3回、規則正しく、バランスの良い食事を「おいしく」楽しんで食べることが、自律神経のバランスを安定させることにつながります。体に必要な栄養素やカロリーがただとれればいい、ということではないのです。
特に朝食は、すっきりとした一日のスタートを切るには重要です。食欲があまりないという人でも、バナナだけでもよいので食べるようにしましょう。朝食をとることで、腸が活発に動き、副交感神経の働きも上がります。
発酵食品や食物繊維なども、一日の食事の中で意識してとるように心がけてください。