「韓流ブーム」が始まって20年が経った
「韓流ブーム」と言われ始めたのは2004年のことで、それからじつに20年が経ったことになる。「ブーム」と言われながらも、一過性のもので終わらずに、「韓流」はいまや1つのジャンルとして日本に定着している。
ただ、韓流ブームの中身を見てみると、1つ1つの商品・サービスなどは、やはりブームとして盛り上がっては冷めていきやすい。韓流ブームは、いくつものブームが生まれては消えていく、その浮き沈みの波の中で、韓流というジャンルを20年かけて形成してきたものとして考えられる。
韓流の歩んできたこれまでの道のりについて、エンタメ・フード・コスメの3分野に整理しながら大きな流れを振り返り、日本でブームになるための成功条件を分析したうえで、その条件を満たす次のブームの有力候補「韓国プリ」を取り上げていこう。
「冬ソナ」から始まった第1次ブーム
第1次ブーム
もともと「韓流」とは、「1997年前後に生まれた韓国ドラマ、映画などの韓国の大衆文化が人気を集めるようになった現象※1」を意味する造語として、韓国や中国などで使われた言葉である。それが日本でも使われるようになったきっかけは、2003~04年に放送された韓国ドラマ「冬のソナタ」だ。
冬のソナタは、中高年層の女性を中心に「冬ソナ」ブーム、あるいは主演俳優ペ・ヨンジュンの愛称「ヨン様」ブームを巻き起こし、社会現象級の大ヒットを記録した。このヨン様に、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホン、ウォンビンを加えた4人は「韓流四天王」と呼ばれ、アイドル的な人気を集めた。また、ラブコメの韓国映画『猟奇的な彼女』やK-POPグループ「東方神起」も人気となり、中高年を中心としながら、若年層にも韓国エンタメが身近な存在になったのが、韓流の第1次ブームである。
エンタメのブームに合わせ、熱狂的なファンが日本から韓国へ訪れてイベントに参加したり、ドラマのロケ地を聖地巡礼したりするにつれて、韓国フードへの注目も高まった。テレビや雑誌で特集が組まれることも多く、冬のソナタのドラマ内に登場するサムギョプサルやトッポッキに加え、スンドゥブチゲ、タッカルビ、サムゲタンなど様々な韓国フードの知名度と人気が上昇した。
また、韓国を訪れた観光客が買って帰り、友人などに配るお土産として人気になったのが、BBクリームやフェイスパックをはじめとする格安コスメだ。プチプライスの韓国コスメが人気を呼ぶようになり、2005年にエチュード、2006年にミシャなど、韓国コスメブランドの日本市場進出もスタートした。