地域振興予算を「教育」に使う

――留学する高校生の保護者の費用負担が少ないことはわかりましたが、寮の運営や地域活動をコーディネートする人材の配置など、教育環境を整えるためには公的な予算がかなり必要になってきますよね。

【岩本】高校自体は道府県立なんですけど、市町村がお金や人を出しているケースが多くあります。道府県と市町村、両方から出し合うことによって充実した環境を作り出そうということですね。

もともと日本は教育予算がすごく少ないという問題もあって、市町村から出す場合は地域振興策の一環として出すケースも多いです。それが将来的な地域振興、少子化対策、地域の人材育成や確保につながるという考え方で。

プラットフォーム化でコストを削減

――ただ、地方の自治体ほど人口が減り、予算が苦しくなっているわけですよね。地域振興予算にしても潤沢にはないでしょう。それを考えると、将来、予算面で留学生受け入れが難しくなる可能性もあるんじゃないでしょうか?

【岩本】一校一校が個別に全国に対して生徒を募集しようとしたら、費用とエネルギーがすごくかかりますけど、100校で連携すれば効率が上がる部分もあります。地域みらい留学は、まさにその考え方なんですよね。プラットフォーム化して100校を合わせてやれば、一定のコストで生徒や保護者、中学校に周知することができるわけです。

参画する学校が一堂に会する「地域みらい留学」合同説明会
写真提供=地域・教育魅力化プラットフォーム
参画する学校が一堂に会する「地域みらい留学」合同説明会

そういう意味では、生徒募集とかマッチングの部分はすでにプラットフォーム化できているので、今後は学びの面でもやれることはやっていこうと考えています。

たとえば、教科の教員が全部の高校に揃っていなくても、複数の高校で授業や学びの機会を共有する。そういう形でやれば効率化できる面はあるでしょう。

あるいは、eスポーツをやりたい子がいるとするなら、一校一校にeスポーツ部を作るのではなく、地域みらい留学に参画している高校全体のeスポーツクラブみたいなものを作る。そういう可能性もあるかもしれません。

次のプラットフォーム戦略としては、リソースのシェアリング、学びのシェアリングということになるのかなと思っています。