「発掘で新しい発見があれば、過去の社会・生活の再現を可能にし、自分にとって新しい知見になるのはもちろんですが、エジプト考古学の分野でも新しい知見になると思う。その成果をグローバルな社会に還元したいと思っています。美術館をやっているのも、巡回展をやっているのも、小中学校に出張美術館をやっているのも、自分としては楽しい古代エジプト文明の体験を社会還元したいという思いがあります」
誰もやったことがないことをやりなさい、という両親の教えもある
「発掘は“夢”です。これまで、可能性を信じてやってきました。ずっと何も見つからなかったけれど、チャンスが回ってきて、前回はたくさん見つかった。この体験は何ものにも変えがたいです。この3月にもまたエジプトへ行って、実測図を書きます」
発掘では、これまで情熱と実現に必要な資金をかけてきたという。「普通はパトロンがいるものだけれど、僕は砂漠に水をかけている。自分で発掘して自分がパトロンのようです」と笑う。
(聞き手・構成=山本貴代)