もし、自転する地球が自転をやめて完全停止したら……。国立天文台の台長特別補佐・平松正顕さんは「もちろんそんなことは絶対に起きません。でも、アメリカ国立航空宇宙博物館の名誉地質学者の思考実験によれば、地球の赤道上の人や建物などは時速1700kmで、また北緯60度では時速850kmで吹き飛ばされるとしています。ちなみに、新幹線の最高速度は時速320km、飛行機の速度は時速900kmです」という――。
※本稿は、平松正顕『ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました。』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
地球の自転を急停止させたら、地球はどうなる?
地球は、およそ24時間かけて一回転しています。大きな地球の上に立っている私たちには、それを感じることはほとんど不可能です。太陽や月が時間とともに動いていくことは、地球が自転している証拠ですが、しかしそれは地動説を理解しているから。素朴に空を見上げていたら、地球が動いているなんてとても信じられません。
地球は、赤道付近で一周およそ4万kmあります。これが24時間で一回転するわけですから、時速約1700kmということになります。新幹線の最高速度が時速320km、飛行機の速度はおよそ時速900kmですから、地球の自転がいかに速いかがわかります。
では、もし地球が今この瞬間自転を止めてしまったら、何が起きるでしょう。もちろんそんなことは絶対に起きませんが、頭の中で考えてみるのは自由です。
国立航空宇宙博物館(NASM)の名誉地質学者であるジェームズ・ジンベルマンさんはそのような思考実験をしてみました。