野党も政策活動費を受け取っている
私も、参議院自民党政策審議会長として党の役員であった時期がある。だが、その時でも政策活動費は受け取っていない。やはり幹事長などが党勢拡大のために使う資金であろう。
ちなみに幹部が政策活動費を受け取っているのは野党も同じで、それだけに国会でも野党が与党を攻撃する材料にはなっていない。
2020年に政策活動費を受け取った主な国会議員と金額は、以下の通りである。
自民党は、茂木俊充幹事長が9億7150万円、渡辺博道経理局長が1億3250万円、遠藤利明総務会長が7100万円、麻生太郎副総裁が6000万円、関口昌一参議院議員会長が5350万円、高木毅国対委員長が3470万円、世耕弘成参議院幹事長が2000万円である。
立憲民主党は、泉健太代表が5000万円、西村智奈美下案次長が5000万円、日本維新の会は、藤田文武幹事長が5057万円、国民民主党は、榛葉賀津也幹事長が6600万円である。
「極秘裏に野党幹部をもてなす」ために使われている
政策活動費は、党勢拡大、政策立案などに使われており、公表することによって政治活動が萎縮することが危惧されている。例えば、国会対策のために、自民党が極秘裏に野党幹部をもてなすようなケースでは、相手にも迷惑がかかるので公表しないのが当然だろう。
選挙の時には、幹事長が候補者に陣中見舞いを持参することになっており、それは、候補者の状況に応じて金額を変えるので、やはり公表しないほうがよいということになる。
要するに、政治には「秘密のカネ」が必要である。「野党の買収」などがその典型で、こういうカネは表には出せない。CIAなどの諜報機関が秘密工作の内容を明らかにしないのと同じである。
私が国会対策として野党と会食したときには、私には政策活動費を支給されていなかったので、党の国会対策費から資金を捻出してもらったと記憶する。
幹部以外の議員は、毎月100万円の文書通信交通費が国から支給される。自民党の場合、半分くらいは党が取り上げ、残りが議員に渡される。これが、主として領収書をもらえない政治工作に使われる。工作資金で私腹を肥やす議員はほとんどいないと思う。
政治には領収書のとれないカネが必要であるが、それをどう準備するのか。内閣官房機密費がその典型であるが、公開性と機密性のバランスをどうとるか、そしてそれを認めるかは国民の政治的成熟さにもよる。すべて公開ということになれば、金持ちしか政治家になれないことになる。