「社会的弱者バッシング」が横行する4つの理由

インターネット上には、生活保護バッシングや精神障害者差別など、社会的弱者に対する過激な批判が氾濫しています。

本来であれば、社会的弱者は、地域社会全体で優しく庇護ひごすべき対象です。

温かい目で見守ることはあっても、目に余るような罵詈ばり雑言を浴びせるような相手ではないはずです。

なぜ、こんな現象が横行しているのでしょうか?

その背景には、次のような4つの理由をあげることができます。

【理由①】自分よりダメな人を叩いて「溜飲」を下げている

一番の理由は、自分よりダメだなと思う人を見つけて、それを罵倒ばとうすることで「憂さ晴らし」をしているのです。

「自分の方がマシだな」と感じることで、ささやかな優越感を持つことができれば、その瞬間だけでも、自分の置かれた苦しい状況を忘れることができます。

生活保護バッシングには、国から生活費を支給されることに対する嫉妬も多分に含まれています。

「アイツより自分の方がマシだな」という発想をしていると、人との比較でしか自分のことが考えられなくなり、つねに自分より下の人を探し続けることになります。

延々とバッシングが繰り返される原因は、そこにあります。

人との比較で溜飲を下げる行為は、自分を「みじめ」にするだけです。

みじめな思いをしているから、自分のバッシングが余計に過激化している……ということに、早く気づく必要があります。

みんなに指をさされ非難されている女性
写真=iStock.com/SIphotography
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「どうせダメなヤツなんだろう」と決めつけている

【理由②】弱者に対する「想像力」が欠けている

名前も顔も知らない社会的弱者を、平気で叩けるというのは、相手に対する想像力が決定的に欠けていることも大きな原因です。

「能力的に劣っているからだろう」と自分勝手に結論づけて、社会的弱者が抱える事情までは考えが及んでいないのです。

社会的弱者には、それぞれ異なった事情があります。

病気やケガで仕事が続けられず、仕方なく生活保護を受けている人もいれば、貯蓄がないために生活が破綻してしまった高齢者もいます。

それを一括りにして、「どうぜダメなヤツなんだろう」と決めつけて一斉にバッシングするのは、相手に対する想像力が欠如している証拠です。

【理由③】すべてが「他人事」で「自業自得」と考えている

15年ほど前に、日本中で「自己責任論」なるものが流行したことがありますが、その考え方は、今でも日本人の心の中に根強く残っています。

心の病が原因で生活保護を受けている人は、「自業自得」であり、「自分はそんなことにはならない」と勝手に思い込んで、すべてを「他人事」と考えている人が多いように思います。

仕事が忙しくて体調を壊したり、上司のパワハラによって心の病を患うことは、誰にでも起こる可能性があります。

何の根拠もなく、「自分だけは平気」とか、「自分だけは特別」と考えているから、見ず知らずの社会的弱者を、上から目線で叩くことができるのです。