「本当に頭のいい人」はどこがすごいのだろうか。教育学者の齋藤孝さんは「10代の藤井聡太氏の将棋を見たとき、史上初の永世七冠にして棋界のレジェンドと呼ばれる羽生善治氏は『学びたい』と言った。この柔軟性こそ、頭がいい人の特徴だろう」という――。

※本稿は、齋藤孝『本当に頭のいい人がやっている思考習慣100』(宝島社)の一部を再編集したものです。

頭がいい人は「情報のキャッチボール」がうまい

頭がいい人というのは、情報を効率よく取り入れて、正しく伝えることができる人。

つまり、インプットとアウトプットが上手な人です。

相手から得た情報を整理し、それを要約しながら相手に返す。いわば「情報のキャッチボール」です。

来た球を捕れますし、それをまた相手の胸元へコントロールよく投げられる。それを繰り返すことができるので、相手も気持ちよくキャッチボールが続けられます。

これは、現代社会では大変重要な力です。

個性と理解力のどちらが仕事仲間として必要かと聞かれたら、たいていは「まずは、こちらが話したことを理解できる人」という答えが、多くのビジネスシーンにおける本音ではないかと思います。

「コツコツ努力する人」が強い

最近は大学入試の形態が変わってきました。同じ問題を一斉に解く一般入試以外に、自己推薦やAO入試という方法で選抜されるようになりました。

いわゆる入試の多様化です。

そこで感じるのは、受験日に向けて何年もコツコツと準備してきた学生というのは、やはりすばらしいということです。

個性やクリエイティブというより前に、合格するためにやらなければならないことを理解し、受け止め、それを長期にわたり持続することができる人は、当然ながら粘りもあります。

サッカーであれば、まずはボールを蹴るという基本技術がしっかりしていなければ困ります。それには、受験勉強のようにコツコツと繰り返して練習をする必要があります。

そのうえでクリエイティブ性が加わると、その選手は非常に強いということになります。

勉強する中学生
写真=iStock.com/Milatas
受験勉強のようにコツコツと繰り返す必要がある(※写真はイメージです)