お笑い芸人は15秒後から逆算している
実際、それができない選手もけっこういるのです。
これがもう少し上のレベルの選手になると、用意したシステムが通用しないときに、それを自分でアレンジすることができる。
こうした融通のきく対応力。それこそが、頭がいい人の特徴といえるでしょう。
お笑い芸人のみなさんはしゃべりのプロですから、たとえばプライベートな時間でお酒を一緒に飲んでいても、場を盛り上げることが得意です。
しかし、競争が激しい世界ですから、業界で生き残れる人たちはごくわずか。
その成功者たちの共通点は、制作スタッフが自分に何を求めているかが理解できているということです。
たとえば、トークを時間軸で捉えながら、10秒や15秒という枠の中で、言いたいことをズバリと言い尽くす。
話をスタートする前に、15秒後の着地点を意識し、そこから逆算して要点をまとめ、最後にクスッと笑えるオチまでつけて話ができる人をスタッフは求めているのです。
話がすべてカットされてしまった
その点で、私は、実は過去にテレビで大失敗をしたことがあります。
まだテレビという世界に慣れていない頃、ある番組で司会者から話をふられ、それに対し知っていることを私なりに答えたのです。
自分としては、そつなく話せたかなと思っていたのですが、あとで知ったところでは、それがすべて編集でカットされていました。
理由は、私の話が長すぎたため、間延びして番組の構成に組み込みづらかったというものでした。
これはつまり、私が制作サイドの意図を正しく把握できていなかったということになるわけです。
言い換えれば、相手の気持ちがわからなかった、求められているものを正しく理解できていなかったということになり、大いに反省したことを今も覚えています。