医学は体質や運命には勝てない

私が長年、とくに高齢者の臨床を行ってきた経験からひとつ言えることがあるとすれば、医学というのは多少の助けになっても、残念ながら、体質や運命のようなものには勝てないということです。

和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)
和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)

減塩やコレステロールの少ない食事を心がけ、医者の言いつけを守り薬もきちんと飲んでいる人が70代で亡くなることがある一方、タバコをスパスパ吸い、放埓ほうらつな生活をしていても大した病気もせず、100歳まで生きる人がいるのは、多くの人が知る事実です。

また、検査数値もすべて正常で、健康的な生活を送っていても、がんなどで若死にする人が意外に多いのも、医者なら多くの人間が知っていることです。

あるいは、長寿の家系の人はかなり不摂生な生活をしていても長寿なのに、短命の家系の人は相当健康に気を遣っていても短命なことが多い気がします。

遺伝子のようなものを前に、意外に医学は無力なのではないかと痛感させられます。信じたくないことではありますが、寿命や病気には宿命のようなものがあるような気がしてならないのです。

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