脳ドックをするなら事前の情報収集が必須

脳ドックは一般的に認知症の予防のためとされていますが、早期発見しても有効な治療薬はほとんどありませんし、認知症のあるなしにかかわらず、脳を使うのが老化予防になりますので、その観点からはあまり期待できません。

ただ、MRI(磁気共鳴画像)で脳の血管の状態を調べられますので、脳動脈瘤を見つけることはできます。これも多くの場合、破裂の予防措置ができるので、くも膜下出血を避けられます。

突然死を避けたいなら、一緒に受ける価値があるでしょう。ただし、これは上手うまい下手の差が大きいので、事前の情報収集は必須です。

それ以外の健康診断は、高齢者に害があることが多いように思います。

ひとつは、いろいろな数値に異常があると薬が出されることが多いのですが、高齢者は異常値がいくつも出ることが少なくないので、薬の種類が多くなってしまうことです。

各種調査で、薬の種類が5〜6種類以上になると副作用が現れやすくなり、転倒のリスクが増えるとされています。

正常値に戻すことによる弊害

また、各種数値を正常値に下げることが、体調の悪さにつながり、意識障害につながりかねないということがあります。

年をとれば誰でも動脈硬化が起こるのですが、血液の通るところが狭くなり、血管の壁が厚くなるので、血圧や血糖値がある程度高くならないと、脳に十分な酸素やブドウ糖が行き渡らなくなります。

そうすると、体がだるくなったり、頭がボンヤリしたりします。とくに運転をする際には危険な事故を招きかねません。

小さなサンドイッチの一切れめを手に持っているシニア女性
写真=iStock.com/banabana-san
※写真はイメージです

また、前述のコレステロールのように、循環器には悪い働きをするけれど、免疫機能やホルモン医学的には良い働きをするものもあります。

薬を使わなくても、正常値に戻すためにお酒や甘いもの、塩分などを制限することになると残りの人生が味気ないものとなり、結果的に免疫機能が下がってがんになりやすくなるということも、知っておいていいでしょう。