医学は何をどこまで変えられるだろうか。医師の和田秀樹さんは「健康的な生活を送っていても早死にする人がいる一方、タバコをスパスパ吸い100歳まで生きる人がいるのは多くの人が知る事実だ。医学というのは多少の助けになっても、残念ながら体質や運命のようなものには勝てない。寿命や病気には宿命のようなものがあるような気がしてならない」という――。
※本稿は、和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです。
栄養はむしろ多めのほうが健康にも長寿にもつながる
血液検査の結果を気にする人がいますが、注意すべきは血液検査の数値より結果として起こる動脈硬化です。
血液検査が正常でも、ひどい動脈硬化が起こって心筋梗塞で倒れる人もいれば、検査の結果がかなりの異常値でも動脈硬化が軽い人もいます。
心臓ドックなどで冠動脈の狭窄が見つかれば、そこをステントと呼ばれる管のようなものなどで広げることができます。そのほうが心筋梗塞の予防としては確実です。脳ドックでも脳の動脈瘤の早期発見ができますし、くも膜下出血の予防対策がある程度できます。
私が血液検査の結果にこだわることをすすめないもう一つの理由は、年をとるほど低栄養の害が大きくなり、栄養(サプリメント等で摂る微量元素も含む)はむしろ多めのほうが健康にも長寿にもつながるからです。
実際、低血糖や低血圧、低ナトリウム血症(塩分を控えすぎると起こる)は意識障害の原因になります。
繰り返しになりますが、私はこれが高齢者の逆走運転や暴走運転につながっていると推測しています。事故を起こしたのが普段は危険な運転をしない人ならば、意識が朦朧としている可能性が十分考えられるからです。