脳内で「ポジティブな経験」を引き算する

ベッドフォールズという町で暮らすジョージ・ベイリーは、クリスマス・イブに自殺を図ろうとしていた。そこへ、天使のクラレンスがやって来る。クラレンスはジョージに、もしジョージが生まれていなければ、町がいかに悲惨な状態になっていたかを見せる。その結果、自分の人生がいかに素晴らしいものだったかを認識したジョージは、自殺を思いとどまる。

ダニエル・ピンク『THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める』(かんき出版)
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このときクラレンスが用いた手法は、ポジティブな経験を頭の中で「引き算」するものと言える。あなたの人生で好ましい要素――たとえば、親しい友人との関係や、キャリアにおける成功、かわいい子どもの存在など――を思い浮かべよう。

そして、その幸せな状況をもたらしたすべてのものごと、自分がおこなった意思決定、おこなわなかった意思決定、犯した失敗、手にした成功がなかったものと考えてみる。好ましい経験を脳内で「引き算」するのだ。

すると、人生は、悲惨で、暗澹たるものになる。けれども、ジョージ・ベイリーがそうだったように、それを通じて、いまの人生への感謝の気持ちが強まり、自分のいだいている後悔に新しい光を当てることができる。

窓のそばのソファに座って外を眺める女性
写真=iStock.com/recep-bg
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6.「ワールド後悔サーベイ」に参加する

まだの人は、「ワールド後悔サーベイ」というウェブサイトに回答しよう。自分の後悔を文章にすれば、その経験へのネガティブなイメージを取り除くことができる。そして、その経験と距離を置いて客観的に分析し、その後の行動を計画できるようになる。

また、ほかの人たちの回答を読めば、人は誰もが後悔と無縁でないとわかり、後悔と向き合う能力が高まる。世界中の人々が寄せた後悔の内容を読む際は、こう自分に問いかけよう。この人が述べている後悔は、どのタイプのものか。その人物が後悔をうまく生かせるように、自分ならどのようなアドバイスを送るだろうか。

7.「旅のマインドセット」を実践する

目標を達成すれば、後悔せずに済む。しかし、目標を達成したあとも行動を続けなければ――たとえば、エクササイズで体を動かすことを続けたり、プロジェクトが完了したあとも勤勉に働き続けたりしなければ――たちまち後悔の感情が生まれる。この問題を避けるための方法のひとつが、「旅のマインドセット」を実践することだ。