親の介護問題も、答えが出る悩み方がある

年老いた親の介護は、誰もが避けて通れないものです。

育ててもらった恩義を感じているかどうかはともかく、一人では生活できなくなった親がいたら、放っておくわけにはいかないのが、子どもの立場、というものでしょう。

しかも、日本人には自分で何もかも背負い込むという気質がどこかあるようです。それを証明するかのように、担いきれなくなった介護が原因となった、痛ましい事件や事故がしばしば報じられています。

親の介護に関連する悩みも、「なんとしても面倒を見なければ」という義務感を自分の内に抱えた悩み方をしていると、にっちもさっちもいかなくなります。

それこそ、心身にわたる負担が限界を超えても、「頑張れない自分が、情けない、不甲斐ない」ということになったりするのです。

もっと、視野を広げて、自分が親の介護にどううまくかかわっていくかを悩むべきでしょう。

日本には介護保険がありますから、それをいかに効率よく、有効に使うか。また、介護費用はどの程度かかるか、それをどう工面するか、施設にはどのようなものがあって、入所するにはどんな手続きが必要か、その費用はどのくらいのものなのか……。

それらはどれも「答え」が出るものです。

車から降りたシニア女性の手を引いて介護する男性
写真=iStock.com/SetsukoN
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「これも症状の一つだ」と思える知識があるか

答えが出れば、次の動きもとれます。

たとえば、それまで付きっ切りで介護していた人が、デイサービスがあることを知り、週に2回なり、3回なり、そのサービスを受けるようにする、といった新たな動きができるようになるわけです。

それで介護の負担は大きく軽減されます。それはそのまま、問題の一定の解決ですね。

認知症の問題も重くのしかかってきそうです。

しかし、それも、「あんなにしっかりしていた人が、こんなふうになってしまって……」と悩んでいても、思いは行き詰まるばかりです。

認知症は、いまのところ、進行速度を遅くすることはできても、治癒ちゆも改善も望めない病気です。だったら、その治らない親とどう付き合うかを悩むしかないではありませんか。

たとえば、認知症についての正しい知識を学ぶ。認知症にはさまざまな症状がありますが、それらを知っておけば、突然、親が思いもかけない行動をとっても、「これも症状の一つだ」と受けとめることができ、あわてたり、うろたえたり、そのことについて悩むこともないのです。

介護のやり方でよくなる症状・よくならない症状があることを知っておくのもいいでしょう。