悩みのない人はどのような考え方をしているのか。医師の和田秀樹さんは「高収入・高学歴・容姿端麗な異性をゲットしたいと条件にこだわると、たまたま二つの条件がそろった相手と出会い、いい関係になったとしても永遠に悩みは解決されず結婚に踏み切れなくなる。しかし、ベターを解決とする考え方ができたら、結婚もできるし、その生活を幸福なものにすることもできる」という――。
※本稿は、和田秀樹『「すぐ動く人」は悩まない!』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
行動できないことで悩んでも仕方がない
みなさんはすでに、悩みには解決できることとできないことがある、というのを知っています。繰り返しになりますが、変えられないこと、変えようがないことは、解決できない悩みです。
過去のこと、容姿や出生(どんな親から生まれたか)、自律神経の問題によって起きている現象(人の前に出ると顔が赤くなる、胸がどきどきする……)などは変えられませんから、いくら悩んでも解決できません。
そして、もう一つ、「動けないこと」も解決できない悩みといえます。
たとえば、転職について悩む場合、なんとなく「この会社にいたくないなぁ」というぐらいの気分でいるときには、悩んでも解決にはいたりません。おそらくは、その気分のまま会社に居続けることになるからです。
つまり、気分だけでは解決のために動こうとしない、動けない。転職はその人にとってまだまだ空想的なこと、漠然とした思いの域を出ていないわけです。
そうしたケースでは、転職について悩んでも仕方がありません。それよりはその会社でどうポジションを上げるか、どうやって実力を認められるようになるか、といったことを悩んだほうがずっといいですよね。
一方、心の中で転職する決意が固まっていれば、悩みは解決に向けてのものになります。転職するための具体的な動きが伴うからです。
転職先の候補をリストアップする、ツテをあたる、転職に有利になるようにスキルを身につける、といったことが具体的な動きの例です。
変えられるか、変えられないか。動けるか、動けないか。この二つは悩みを選別する重要なポイントです。
悩みが心に入り込んできたとき、まず、この二点でふるいにかける。そうすることで、余計な悩みにつかまらないで済むのです。