パートナーが家庭を顧みず、仕事にばかり邁進していたらどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「例えばDVと同じで、夫婦間の問題で相手をどうにかしようと悩んでも解決されないことが多い。自分がどうするかを悩み、その方向に舵を切るべきだ。その意味で、越えてはいけない一線を踏まえた上で、異性の友人をつくって、たまにお茶を飲んだり食事をすることはあっていい」という――。
※本稿は、和田秀樹『「すぐ動く人」は悩まない!』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
解決できないということを前提にする
人間関係の悩みの中でもっとも厄介なものの一つは家族に関するものでしょう。夫婦は離婚をすればかかわりは断たれますが、親子の縁は切ることができません。その意味では逃げられないわけです。
親子間でいえば、今後ますます高齢化が進むこともあって、親の介護の問題で悩むケースが増えてくるのは確実です。すでに介護離職が社会問題として大きく取り上げられています。
また、子どもたちに目を転じれば、不登校や引きこもり、家庭内暴力や非行といった問題が変わらず親を悩ませています。
それらの問題と向き合うときに重要なポイントになるのは、解決できないことを前提に悩むということです。
もちろん、解決に向けてさまざまな取り組みや動きをするのは当然です。しかし、手を尽くしても解決できないことはあります。
そのときに、「やるだけやったけれど、どうにもならない」と鬱々として悩むのではなく、それでも何かできることはないか、というふうに悩む。それが、解決できないことを前提にして悩むということです。
すると、やるべきことが見えてきます。
一番望ましい解決は難しくても、その状況でのベターな解決のために、一歩を踏み出すことができるのです。
そのことを頭に入れていただいたうえで、具体的な問題について考えていくことにしましょう。