イスラム人口は世界に16億人
次に、パレスチナ人と同じイスラム教徒の世界分布はいかなるものなのであろうか。パレスチナの側にたつイスラム勢力の世界人口分布を参考のために、少し古いデータであるが図表5に掲げた。
世界全体のイスラム人口は15.7億人と人口全体の4分の1弱の22.9%を占めているとされる。ユダヤ人人口とは比べものにならないぐらい多い。
地域別には、イスラム教がはじまってまず広がった中東・北アフリカでは、3.2億人とイスラム人口全体の20.1%を占めるにすぎず、最も多いのは、アジア・太平洋地域の9.7億人であり、61.9%と6割を超えている。
この2地域に次いでサハラ以南アフリカが2.4億人、15.3%と多く、ヨーロッパと南北アメリカは合計しても4300万人、2.7%と少ない。
国別に見ると、最大のイスラム国はインドネシアであり、2億人のイスラム人口を抱えている。インドネシアに続いて、パキスタンの1.7億人、インドの1.6億人、バングラデシュの1.45億人とイスラム人口を多く抱えている国となっている。
これら諸国に次いで、イラン、トルコ、エジプト、ナイジェリアが7000万人台のイスラム人口を有するイスラム国である。
欧米諸国は、ロシアによるウクライナ占領への非難とは異なり、国連決議に反するパレスチナ領域のイスラエルによる事実上の占領を、二重基準のように黙認しているが、世界のイスラム諸国の国民はそれを許しそうにない。
すでにイスラエル側の死者を大きく上回るパレスチナ側の民間人を含む死者が出ており、過剰防衛の感がある。諸国民が広く支持する真の和平がさらに遠のけば、イスラエルにとっても世界から見放されるという意味で本末転倒となることは間違いない。イスラエルとパレスチナの平和的共存がどれほど困難であろうとも、なお、それを追求するほかに道はないのではなかろうか。