単身(ひとり暮らし)世帯が3割を超え、2人世帯より多い日本。統計データ分析家の本川裕さんが「年齢別のひとり暮らし比率」を算出すると、「1985年から2020年までの35年間でひとり暮らしが激増した中、際立っていたのは20代後半の2.2倍をしのぐ、85歳以上3.8倍。また、都道府県別では都市部に多く、地方は少ない傾向がありますが、鹿児島県はひとり暮らしする高齢者が突出して多いことがわかった」という――。

ひとりぼっちがフツー:20代は約30%、85歳以上は22%

最新2022年の国民生活基礎調査では、単身世帯(ひとり暮らし世帯)の数が32.9%と、はじめて3割を超え、2人世帯の数を上回って世帯の中で最も多くなった。

単身世帯化の動きは、青・壮年層からは未婚化にともなう動きや少子化問題として関心をもたれ、高齢層からは、ひとり暮らし老人の孤独死や福祉・介護の問題として、あるいは防犯や防災、救急医療の課題として関心を持たれている。

ところが、こうした高い関心にもかかわらず、意外なことに基礎的指標であるのに「年齢別のひとり暮らし比率」は公式に集計されていない。そこで時系列変化の実態、および地域別のひとり暮らし状況を概観してみよう(※)

※公的統計からよく引用される世帯数構成比では、各年齢層のひとり暮らし比率が分からない。これを知るためには、世帯主の年齢別の単独世帯数を年齢別のひとり暮らし人口と捉え、これを別集計の年齢別人口で除して求める必要がある。1種類の集計で求められず、官庁統計の調査結果の概要版でも公表されないので、マスコミも報じない状況となっている。

筆者は1985年以降の5年おき(90年、95年、00年、05年、10年、15年、20年)の国勢調査結果から求めたひとり暮らし比率を算出しグラフにして示した(図表1)。

現在のひとり暮らし比率はどうなっているのか。

最新の2020年の値を追うと、10代では5%程度と低いが、20代には30%近くに上昇し、結婚が進む30代ではいったん10%台に低下するものの、40代前半で最低の12.4%と再び上昇に転じる。最近は生涯未婚率が上昇しているので最低でも10%以上とかつて(85年は50代までは5%前後)と比べると底上げとなっている。

40代後半についてみていくと、離婚、別居や単身赴任などで徐々に上昇をはじめ、その後、子どもの独立も加わって60代後半には16%を超える。65歳以上の高齢期に入っても、配偶者との死別や子どもの独立でさらに上昇を続け、85歳以上では22.2%にまで達する。