GDPがドイツに抜かれ世界4位に降下した日本。人口も最新調査で12位にランクダウンした。統計データ分析家の本川裕さんは「2100年の人口は6278万人になると算出されている(40位に転落)。これは、現在の約半分であり、戦前・昭和初期の人口水準。だが、幸せに暮らせるなら人口が減ることを厭うことはない。人口小国として成り立つような国づくりを真剣に模索していく必要がある」という――。

あと70数年で「戦前・昭和初期の水準」に落ち込む可能性

2024年の2月には昨年23年の日本のGDPがドイツに抜かれ世界第4位となったことが報じられ、日本経済の低迷を示すものとして新聞・テレビなどで繰り返し報道された。一方、これと比較してあまり注目されないが、実は、人口のランキングについても日本は低下を続けている。

国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2023」によると、世界の人口は22年11月に初めて80億人を上回ったが、23年の年央推計では80億4500万人。日本はエチオピアに次いで世界12番目に多い1億2330万人だったとされる。日本が12位にランクダウンしたことはニュースではそれほど大きく取り上げられなかった。

そこで、今回は日本および世界各国の人口ランキングの変化について見てみよう。人口ランキングを見る前に、その前提として日本の人口の長期推移について、これまでと将来展望について確認しておこう(図表1参照)。

西暦600年より前の飛鳥時代から1300年代前半の鎌倉時代までは500万~600万人で推移し、続く室町時代から戦国時代にかけて1700万人に増加、戦乱のなくなった江戸時代の享保の改革(1736年)の頃には3000万人に達した。

ただ、日本の人口はその後伸び悩んでいたものの、江戸時代後半から明治維新にかけて経済社会の近代化とともに急激に増え続け、2008年のピーク時には1億2808万人に。

ところが、近年は出生率が大きく低下し、海外からの移民もわずかであるため、人口が減少傾向をたどっている。グラフはえげつないほど急降下していく。そして、日本の公式予測である国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計では、このまま出生率や社会移動率の動きに大きな変更が加わらないとすると2100年の人口は6278万人になると算出されている。これは、現在の約半分であり、戦前・昭和初期の人口水準である。そして、そのまま推移すると22世紀(2101~2200年)には江戸時代の水準(3000万人)にまで逆戻りしかねないと考えられる。

そして、直近の出生動向は、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計による出生数を下回っており、この将来予測でもまだ楽観的な見方かもしれないのである。政府による「異次元の少子化対策」でこうした状況が抜本的に改善されると考えている人は少なかろう。